だるまちゃんが、外に遊びに行こうとしたら、雨が降ってきました。
かさをさして出たら「ぴかぴかごろごろがらがらどしん」と小さなかみなりちゃんが落ちてきたのでした。
『だるまちゃんとかみなりちゃん』加古里子作・絵、福音館書店、1968 amazon
だるまちゃんは、かみなりちゃんのために、落ちてきたときに木に引っかかってしまった浮き輪をとってあげようといろいろと試してみます。でも、高くてどうしても届きません。
そこへ、来てくれたのが、かみなりちゃんのお父さんのかみなりどん。助けてくれて、だるまちゃんをかみなりの街に連れて行ってくれるのでした。
空から落ちてきた、お友だち
だるまちゃんは、かみなりちゃんと初めて会ったにもかかわらず、助けてあげるために試行錯誤します。
いろいろ一緒にやってみるうちに、二人は、いつのまにか仲良しに。同じように腕を組みながら、同じようにうーんと口をひき結んで「かんがえ かんがえ かんがえている」場面は、とても微笑ましくかわいらしく感じます。
こんなふうに、子どもたちは新しいお友だちと出会い、助け合い、たくさんチャレンジをして仲良くなっていくのだな、と心があたたかくなります。
かみなり仕様? 想像が膨らむかみなりの街
この絵本のさらなる魅力は、かみなりの街の描写にあります。
「かみなり公園のプール」や「かみなり町いなずま通りごろごろ番地」のかみなりちゃんの家のある街の様子、かみなりの子どもたちが遊ぶ姿や、ずらりと並んだかみなりちゃんの家庭のごちそうたち。
街で見かけるものは、多くがかみなりちゃんの角のように、ぽっこりと2つのでっぱりがあるデザイン。公園の銅像にまでツノが生えているのも、くすっとポイントです。
かみなりちゃんの住む街は、車のように大きな雲に乗って移動をし、電気を活用した施設や家電が充実していて、意外と都会的です。そんな様子にも、雷だから電気が得意なのかな、などと想像が膨らみます。
ぜひ、かみなりちゃんたちの暮らしを、細かいところまでのぞいてみてくださいね。
にこっとポイント
- 「からすのパンやさん」でも有名なかこさとしさんのロングセラー、だるまちゃんシリーズの1冊です。友だちと出会い、助け合う様子に、心があたたかくなります。
- かみなりの街や公園、食卓の細かな描き込みやデザインを、ぜひじっくり眺めてみてください。自分だったらこんな街に住んでみたいな、と想像が膨らみます。
(にこっと絵本 Haru)