雨の季節。空はグレーで曇り空、どんよりした気持ちになる中で、ひときわ明るいばらいろの絵本をご紹介します。
それは、『ばらいろのかさ』。
『ばらいろのかさ』アメリー・カロ作、ジュヌブィエーヴ・ゴドブー絵、野坂悦子訳、福音館書店、2019 amazon
かわいらしい女性が、髪にバラの花を飾ろうとしています。
彼女の名前はアデル。このお話の主人公です。
アデルは、「みずたまエプロン」というカフェをしています。
海辺の村にあるアデルのお店は、このあたりに住む人たちにとって、なくてはならない居場所なのでした。
アデルの店は、水曜日には果物や野菜を売っています。出店を開くのは、リュカという、とてもしっかりとした若者でした。
いつもは朗らかなアデルですが、雨の日だけは、どんより暗い気持ちになってふさぎこんでしまいます。
そんなある日、お店に、「ばらいろの長靴」があるのに気づきます。
誰かの忘れ物かしら?
そうしているうちに、次は「ばらいろのレインコート」があるのに気づきます。
アデルにピッタリと似合うレインコート。アデルは、ますます不思議に思うのでした。
そして、今度は「ばらいろのかさ」が……。
誰が置いて行ったのか、アデルはピンときました。
「まちがいなく、あの人・・・」
雨でふさぎ込むアデルを元気づけようと、贈りものを届けていた彼の気持ちに、アデルはようやく気づけたようです。
「ばらいろ」と「恋する心」。なんともロマンティックな作品です。
恋っていいなぁ~。
にこっとポイント
- 雨の季節が明るくなる、ばらいろの、なんともロマンティックな絵本です。
- 見返しには、こんな言葉が書かれています「雨はふってくる。なんのまえぶれもなく、恋におちるように― マルタン・パージュ」大人の女性への贈りものとしてもステキかも。
(にこっと絵本 森實摩利子)