あらすじを知っている方も多い昔話「かさじぞう」は、作家や画家が違う、さまざまな絵本が出版されています。

今回は、その中から、日本人として初めて国際アンデルセン賞(※)の画家賞を受賞した赤羽末吉さんが絵を描き、児童文学者の瀬田貞二さんが再話をした『かさじぞう』を紹介します。

かさじぞう

『かさじぞう』瀬田貞二再話、赤羽末吉画、福音館書店、1966 amazon

大晦日、貧乏なじいさんは正月の餅を買うために、町へ編み笠を売りに行きますが、一つも売れません。その帰り道、じいさんは雪をかぶった地蔵様に出会い、売れ残った笠をかぶせることにしましたが、一つ足りません。じいさんは、自分の笠をかぶせることにしました。すると、翌日の正月の朝、編み笠をかぶった人たちが、じいさんの家にやってきて、餅や宝を置いて帰りました。

『かさじぞう』2つのおすすめポイント!

1つめはお話の魅力を最大限にひき出している絵です。赤羽さんは、日本の雪に魅せられ、冬になると東北地方を訪ねて雪のスケッチを重ねたそうです。そんなこだわりの墨絵の雪の描写は一見の価値あり。また、藍色の和紙を背景に描かれた、見開きいっぱいの扇形の中に墨絵があるという構図もこのお話の味わいをひき出しています。

2つめはことばのリズムが独特で楽しい点です。たとえば、「ゆきがもかもかふってきた」、「よういさ、よういさ、よういさな と、そりひきのこえがする」、「のっこのっことかえっていったと」などなど。子どもたちに読み聞かせをすると、この聞きなれないことばが新鮮なようで、耳を澄ませて聞き入っている様子をたびたび目にします。

大人から子どもへと紹介したいロングセラー

『かさじぞう』は、出版されて50年以上もの間、子どもたちに愛され、読み継がれてきました。ただ、全体的に地味なせいか、なかなか手にとられにくいという面もあります。ぜひ、大人が読み聞かせ等を通じて紹介し、この名作昔話絵本と子どもたちの橋渡しをしてほしいと思います。

 

※国際アンデルセン賞

1953年、国際児童図書評議会により創設された子どもの本の国際的な賞。選考水準の高さから「小さなノーベル賞」ともいわれ、子どもの本の分野における最高の国際的な賞。(JBBYホームページより)

 

にこっとポイント

  • 数多く出版されている『かさじぞう』の絵本の中でも、50年以上読み継がれている名作昔話絵本。お話の魅力を最大限にひき出している絵とことばのリズムの楽しさを味わって!

 

(寄稿:絵本専門士<横浜市> 正木由香)

 

 

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