PICK UP! ハロウィンに読みたい絵本

平和ってなあに?

平和って、たとえばこんなこと。「せんそうを しない」「みんなの まえで だいすきな うたが うたえる」「おもいっきり あそべる」……。

これらは、絵本『へいわってどんなこと?』の中に出てきた答えの一部です。

へいわってどんなこと

『へいわってどんなこと?』浜田桂子作、童心社、2011 amazon

どの答えも、具体的で身近なものばかり。いろいろな国の子どもたちが笑ったり怒ったり遊んだりしている姿は明るくて、エネルギーに満ちあふれています。

「へいわって、みんなにこにこすることなんだね」言ったのは、この絵本を読んだ5歳の女の子。平和ということばを耳にするのが初めてのような幼い子も、絵本の中の子どもたちのいきいきとした姿を素直に喜び、しっかりと「平和」を受け止めます。

「おなかが すいたら だれでも ごはんが たべられる」 少し大きくなった子が気づくのは、おなかが空いてもご飯が食べられない世界の存在です。

「いやなことは いやだって、ひとりでも いけんがいえる」 さらに、ズーンとおなかに響くような衝撃を受ける人もいるでしょう。

そう、平和とは戦争をしないことだけではないのです― 「平和」と「戦争」をセットでとらえることなく、いったい何が平和なのかを根本から考えたとき、決して簡単にページをめくることはできません。

私は、どうなのだろう。あの子は、どうかな……。

ゆっくりと思いや考えを巡らせた先に浮かんでくるのは、人としての尊厳や「生」そのものかもしれません。

 

「へいわって ぼくが うまれて よかったって いうこと」「きみが うまれて よかったっていうこと」

 

平和ってなんだろう…… じっくりと考えたいとき、「戦争」についての学びの第一歩に、手にとっていただきたい絵本です。

「日・中・韓 平和絵本」シリーズのこと

『へいわってどんなこと?』は、日本・中国・韓国の絵本作家と出版社が協力した、三か国共同出版(それぞれの国で、それぞれの言語で、絵本を刊行しあう)「日・中・韓 平和絵本」シリーズの1冊です。

今の子育て世代は、戦争を知識でしか知らない人がほとんど。知識不足に焦る気持ちがある方も少なくありません。

その一人である私も、以前、幼い子どもたちに、ミサイル落下時の避難訓練やミサイルを飛ばすごっこ遊びがはやったとき、何をどう伝えたらいいのか悩んだことがありました。

日本で戦争のあった時代も、今まさに戦争をしている地域も、今の私とつながっているのだ、日常なのだと肌で感じたできごとでした。

平和とは何か―。

あまりに大きすぎる、そして生活に追われているとつい後回しにしてしまう問いですが、まずは考えることから始めてもいいのではないでしょうか。そこに踏み出すとき、このシリーズは大きな助けになってくれます。

そして私も、しかるべきときに、これらの絵本を多くの子どもたちに手渡していきたいと思っています。

「日・中・韓 平和絵本」の刊行のことばやシリーズのラインナップが、こちら(童心社の平和絵本特集ページ)でご覧になれます。「平和絵本」だからではなく、読みたい絵本としておすすめできる、そんなシリーズです。

にこっとポイント

  • 明るく読みやすいだけでなく、読み手が考える余白のある絵本です。幼児から大人まで、平和についてじっくりと考えたいとき、戦争についての学びの第一歩におすすめです。
  • 日・中・韓三国で協力して出版されている「平和絵本」シリーズの1冊です。平和への願い、未来への希望がこめられたこのシリーズを、多くの方に手にとっていただきたいと思っています。

 

(にこっと絵本 高橋真生)

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