私の知り合いには、雨に濡れることよりも、かさを持って歩くのが嫌、という人が何人もいます。まあ、確かにひと荷物ではありますもんね。
でも、こんなかさだったらどうでしょうか。
『わたしのかさはそらのいろ』あまんきみこさく、垂石眞子え、福音館書店、2006 amazon
『わたしのかさはそらのいろ』の「わたし」のかさは、晴れた日の空の色をしています。
わたしの かさは
そらの いろ
あめの なかでも
いい てんき
歌いながら、かさをくるくる回すと、「いーれて」と動物たちが飛び出してきます。
こねずみに、こうさぎ、こぐまに、こじか。さらには、友だちもたくさん! でも、大丈夫。かさは、みんなが入ってくるたびに、青空のようにずんずん広がります。
日常につながる「不思議」に、楽しそうな子どもたちや動物たちの表情。読んでいると、ほんわかとうれしい気持ちが湧いてきます。
この絵本を読んだ子の中には、もしかしたら自分にもこんなことが起こるかもしれないと、かさを差すのを楽しみにするようになった子がいました。また、「女の子とかさの相棒のような関係にあこがれて、かさを大事にするようになった」という感想を聞かせてもらったこともあります。
大人だって、かさは面倒という気持ちをひととき忘れて、つい、かさをくるくる回したくなるかもしれませんよ。
ところで、「わたし」とみんなで歌いながら遊んでいるうちに、雨はやんでいました。さて、そのときみんなで見たものは何だったのでしょうか。ぜひ、絵本でご覧くださいね。
にこっとポイント
- 新しいかさをくるくる回していると、友だちや動物たちが集まってきます。雨の日にぴったりの、やさしくて楽しいファンタジーです。
- 冒頭のかさやさんの店内もカラフルで素敵です。絵本を読み終わった後に、どんなかさが欲しいかおしゃべりしても盛り上がりますよ。
(にこっと絵本 高橋真生)