「お月さまってどんなあじなんだろう」動物たちは夜、月を見ながら思っていました。
『お月さまってどんなあじ?』ミヒャエル・グレイニェク絵と文、いずみちほこ訳、セーラー出版、1995 amazon
そこでカメが、一番はじめに高い山に登って、味をみることにしました。でも山のてっぺんに着いても、お月さまには近くなりましたが、届きません。
そこでカメは、ゾウを呼んで自分の背中に乗ってもらいましたが、やはり届きません。
お月さまは面白いゲームだと思って、少し上へ逃げたのです。
その後も、キリン・シマウマ・ライオン……と、大きな動物がつぎつぎと乗っていきました。でも、その度にお月さまは、ヒョイ! と上へ逃げますから、届くはずはありません。
そして、9匹の動物がお月さまを目指します。9匹目は小さなネズミでした。
ところが、このゲームに飽きてきていたお月さまは、「あんなちびじゃ、むりだな」と動かなかったのです。さぁ、ネズミはお月さまの味見をすることができたのでしょうか?
仲良しの動物たちの心温まるおいしいお話ですね。
この絵本をはじめて子どもたちと読んだとき、子どもたちはシーンとして見入っていました。動物と同じ気持ちになっていたのかもしれません。
そして今、私は、この絵本を読むときに、「お月さまは ひょいとうえへにげました」の部分で、絵本を3㎝くらい上へ動かして読んでいます。
はじめて動かして読んだとき、シーンとしていた子どもたちから「にげた!」という声が出ました。嬉しくてそれ以来、動かし読みをしています。
にこっとポイント
- 仲良しの動物たちの心温まるおいしいお話です。
- 作者・ミヒャエル・グレイニェクは、マイケル・グレイニエツという表記されている絵本も出版されています(にこっと絵本注: 絵本のリンク先は「マイケル・グレイニエツ」と表記されている絵本です)。
(寄稿: 絵本専門士<東京都> 鴫原晶子 / 保育者養成校講師)