冬休みが終わって、新学期が始まりましたね。お正月ののんびり気分はどこへやら、また忙しい日々が戻ってきました。
のんびりゆっくり過ごした人にとっては、身体を元のペースに戻すのに、少し時間がかかるかもしれませんね。
さて、今日ご紹介する絵本は、コウくんが古い腕時計を見つけたところから始まります。
『チキチキチキチキいそいでいそいで』角野英子文、荒井良二絵、あかね書房、1996 amazon
ギリルギリルと、ねじをまくと、時計は、「コッチリ ポッチリ コッチリ ポッチリ」と動き始めます。
コウくんも「コッチリ ポッチリ」と歩き、ご飯を食べ、眠ったのでした。
さて、次の朝のことです。
腕時計を見てびっくり。昨日と違って、チキチキチキチキと早い音を立てて動いているではありませんか!
時計のチキチキチキチキ、そのスピードに巻き込まれて、コウくんもお母さんもお父さんも、そして町中のみんなも、チキチキチキチキと大慌てで動き出してしまったのです。
いくらなんでも慌てすぎでしょ、と突っ込みたくなるお話なのですが、生活をしていると、いろんなことに巻き込まれて自分のペースを乱してしまうことってありませんか?
この作品を読むと、自分らしいペースについて、考えてみるきっかけにもなりそうです。
ユーモアあふれる角野さんの文章に、ユニークで温かい荒井さんの絵がマッチした、へんてこでおもしろい作品です。
にこっとポイント
- 古い腕時計に合わせて、みんなが大慌てで動き出してしまうというお話です。
- とにかくみんなが慌てているので、読むときもテンポアップがおすすめです。大慌て、ドタバタ感を聞き手に伝えたいですね。
(にこっと絵本 森實摩利子)