
『つるわるつ』林木林作、岡本よしろう絵、文研出版、2024 amazon
つるが、舞踏会の招待状を書きました。さて、夜がきて……。
怪しげなトマトのお城の中の会場で、スポットライトを浴びているのは、タキシードを着たつる! そこには、「つる わるつ」と、タイトルと同じ文が書かれています。
次のページには、「つる わに わるつ」の文と一緒に、つるとワニの姿が描かれています。ワニは、つると手を取り合い、どうやらワルツを踊っているようです。
では、ここで「つる わるつ」と、「つる わに わるつ」を、後ろから読んでみてください。
実は、「つる わるつ」も「つる わに わるつ」も、前から読んでも、後ろから読んでも同じ文になっています。そう、この絵本の文は、全て回文なのです!
ワニの次に登場するのは、誰でしょうか? いろいろな招待客たちが、2人組で踊る姿も楽しい絵本です。
薄暗い会場を背景に、文字はどのページも白色で書かれているので、回文がとても読みやすいです。
また、スポットライトに映し出された中、踊る姿が描かれた絵は、とても色鮮やかで印象に残ります。
さらによく見ると、スポットライト以外のところも、壁に絵がかかっていたり、シャンデリアが吊り下げられていたりしていて、雰囲気を盛り上げています。
さて、まるでワルツの音楽まで聴こえてきそうなくらい楽し気な会場ですが、いろいろな場面でうろついている赤い影にも、注目です。
だんだん減っていく招待客と関係はあるのでしょうか。回文に親しむことができると共に、想像もふくらむ絵本です。
にこっとポイント
- トマトの城で開催される、つるが招待した舞踏会を、前からも後ろからも読める回文で描いたユーモラスな絵本です。
- ページごとに登場する回文を声に出して読むと、より楽しめます。絵本を読んだ後で、自分で考えてみるのも、おすすめです。
(にこっと絵本 SATO)