2022年ももう少しで折り返しです。この半年を、あなたはどんなふうに過ごしてきたでしょう。
思い通りの感じでしたか? それとも、思うようにならず、つまずきの多い日々だったでしょうか?
さて、ペンギンが空を飛ぶ、そんな不思議なお話を、今日はご紹介します― 『空の飛びかた』。
『空の飛びかた』セバスティアン・メッシェン・モーザー作、 関口裕昭訳、 光村教育図書、2009 amazon
このお話は、ペンギンと一人の男性の物語です。
ある日の散歩中に出会ったペンギンは、「空から落っこちた」と話します。
ペンギンは空を飛べない― それを知ってはいるけれど、ペンギンは、一羽の鳥になりきってやればきっと飛べる、と思いこんでいました。
男性の前で試してみましたが、あえなく墜落。
ペンギンは男性に引き取られ、今度は、二人で空を飛ぶ方法を探します。いつしか、空を飛ぶことは、男性の願いにもなっていくのでした。
そしてある日、新しい実験をしようとしているところに、空を飛ぶペンギンの群れがやってきます。
えいっとジャンプし、群れの後を追うペンギン。
ペンギンにしては やつの飛びかたは上手だった
飛んでいくペンギンを見送る男性のつぶやきで、物語は終わります。
私はこの作品から「やってやれないことはない!」と希望をもらいました。
あきらめないこと。
限界を自分で決めないこと。
そして、信じる気持ちを持ち続けること。
そんなことも、感じました。ユーモアの中にある、作者からのメッセージですね。
2022年の後半を、新たな気持ちでスタートしたいと、気づきをもらった作品となりました。
にこっとポイント
- 空を飛ぶことを願うペンギンと男性の物語。いろんな経験を積んだ大人のこころに、じんわりくる作品だと思います。
- 鉛筆画の美しさもじっくりとご堪能くださいね。
(にこっと絵本 森實摩利子)