『だれでもおんど』サトウマサノリ作、パイインターナショナル、2019 amazon
「トン トン トン トトン トトン」
夕暮れの森の中、虫たちの声にまじって、何やら音が聞こえてきます。
やっと土の中から外の世界へ出てきた喜びに、太鼓を叩くセミ。おしゃれな名前で呼ばれたいデブスナネズミ。それから、トリノフンダマシ、カメガエルなど、さまざまな生きものたちが登場します。
生きものたちがくり広げるその陽気な音頭は、生きていればそれでよい、まるで現代の「ええじゃないか」のようです。
「トン トン トン トトン トトン」という、日本人には、なじみのある太鼓のリズムのよい音。
わたしは、この音を聞くと、遺伝子に染みついているかのように、体の奥から楽しい気持ちが湧き上がってきます。
そして、生きものたちが生を謳歌し踊る様子を見ていると、悩みも一緒に吹き飛ばしてくれるような気がしてきます。
だれにも なんかちょっと いろいろ あるよ
いつでも だれでも ウェルカム
… だれでも だれでも だれでも おんど
虫たちの踊る姿や、逃げていくセミの姿など、生きものたちの本来の姿をしっかりと描写しつつも、「へぇ〜」と驚きながら読めるトリビアがあったり、くすっとできたりと、注目ポイントが盛りだくさんです。
さあさあ、皆さんも悩みごとなんか吹き飛ばしてくれる、陽気な生きものたちの音頭に加わってみませんか?
にこっとポイント
- どんな生きもの、どんな人でも肯定してくれる、みんなが輪に入って踊りたくなるような絵本です。生きているだけで、どんな自分でもいいんだ、と悩みもふっきれる陽気さがあります。
- 出版社パイインターナショナルから、音源付きの動画が出ています。より音頭の雰囲気を感じられ、一緒に「アソレ!」と言いたくなります。
(にこっと絵本 Haru)