PICK UP! 空のきれいな季節に……「飛ぶ」絵本
こんやはなんのぎょうれつ?

『こんやはなんのぎょうれつ?』オームラトモコ、ポプラ社、2012 amazon

満月の夜…… 何かの案内状らしきものを持った魔女が、ほうきでやってきました。

出迎えたのは、ちょうちんおばけ。そこは、行列の最後尾です。

前に並んでいるのは、ドラキュラ、半魚人に、ジャック・オ・ランタン、孫悟空。「はしってきちゃった」「わしは およいで!」「にほんは はじめて?」「はい、そうです」なんて穏やかな会話をくり広げています。

ページをめくると、座敷童や一つ目小僧たちが並んでいます。…… そう、この絵本には、とある場所で、妖怪やモンスターなどの不思議な存在たちが行列しているところが、描かれているのです。

たとえば、ろくろっくびが首を伸ばして行列の前の方を見ていたり、風神の出す風が強すぎて、後ろに並んでいる妖怪たちが弱っていたり、そんな様子を見ることができます。

もちろん、妖怪を知らなくても大丈夫。ユーモアたっぷりな絵は眺めているだけでも魅力的で、真面目に並んでいる妖怪たちが、身近に、且つどこかかわいらしく感じられるほど。

ページをめくるたびに、おもしろい妖怪たちに会えるので、絵本にあまり興味を示さないお子さんも、「先を知りたい」「続きを読みたい」という気持ちを味わえるようです。

「推し」の妖怪が見つかるお子さんがいれば、妖怪たちのセリフ「ごくらく、ごくらく」「さいこうで~す」が、ブームになったおうちもあるんですよ。

さて、行列の終点には何が待っているのか(上のセリフがヒントになるでしょうか)。私は、古今東西、人間を震え上がらせている存在たちも、やっぱりこれは好きなのねー、なんてうれしくなってしまいました。

裏表紙を開いたところには、「ことしのおきゃくさまめいぼ」が掲載されていて、簡単な紹介文が書かれています。この絵本を起点に、別の物語や世界の民話にも、ぜひ触れてみてくださいね。

少し肌寒さを感じるハロウィン前後や、月がきれいな夜などに、特におすすめです。

にこっとポイント

  • 月のきれいな夜、妖怪たちの行列と、その行き着いた先での楽しい出来事を描いた絵本です。
  • おしゃべりしながら読むのが楽しい本で、ページが開くしかけもあります。
  • 「ぎょうれつシリーズ」として『なんのぎょうれつ?』(動物)『なんの じゅうたい?』などもあります。

(にこっと絵本 高橋真生)

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