暑さに弱いワタクシ。気力体力が奪われて、余裕もなくなりがちです。
そんなときに読むと元気になるのが、こちら『ほんとはスイカ』。気持ちが緩む、ユーモア絵本です。
『ほんとはスイカ』昼田弥子文、高畠那生絵、ブロンズ新社、2015 amazon
道を歩いていたイトウくんが、イカに出会います。
「あっ、イカだ」「しっけいな。おれは スイカだ」
えっ、スイカ? でも、イカはどこをどう見てもイカなのです。
イカは、ハハンと笑って言いました。今イカの姿をしているのは、「ス」を落としてしまったからなのだ、と。
…… どういうこと?
同じくイカの話が信じられなかったイトウくん、イカと別れて歩いているうちに、道に「ス」を見つけますが、うっかり転んでしまったために頭にスがはりついて……。
そう、「スイトウ」に姿が変わってしまったのです。
さあ、どうなるイトウくん! そして(ス)イカは?
読んで笑っているうちに元気が出てくる!
なんてことない、といえば、確かにそうなのです。
でも、笑っちゃいますよね。ことばを足したり引いたりするだけで、こんなに楽しくなるなんて!
同じようにくたびれている誰かと、感情をたーっぷり入れて読んで笑い合うと、さっきまでぼんやりしていた気持ちに少し余裕が生まれます。
あ、風が吹くと気持ちいいな。おやつはスイカにしようかな。その後、何して遊ぼうか。読んでしばらくは、自分もついつい変身したりして。
ところで、この絵本を、何気なく読み始めた人は、最後に気づくようですよ。
イカが、トマトの上にのっていることに。そして、イカの模様もちょっと変なことに……。
ああ、これってこういうことだったのね。
イカだけでなく、登場人物のみなさんもなかなかインパクトのあるキャラクターぞろい。どうぞご期待くださいね。
心の栄養もとりつつ、元気に夏を乗り越えましょう!
にこっとポイント
- 子どもが、爆笑と突っ込みの合いの手を入れてくれる、ことば遊びのナンセンス絵本です。大人も「フフッ」と笑ってしまう、元気になれる絵本です。
- インパクトのある絵とクセのあるキャラクターに合わせて、いつもより少しオーバーに読んでも楽しいですよ。
(にこっと絵本 高橋真生)