「るー」は、かわいいぶたの子ども。表紙には、ラッパを持って歩き出するーが描かれています。
『こぶたのまーち』(こどものともセレクション)むやまけいこさく、ほりうちせいいちえ、福音館書店、2009 amazon
実は、るーはらっぱの名手なのですが、そうなるまでにはいろいろありました。
るーは、父さんかららっぱを習っていたのですが、そのお稽古が大嫌いだったのです。だって、父さんみたいに上手に吹けないし、吹けないと怒られるし。
そりゃそうですよね。だれだって叱られながら何かをするのはいやなものです。
読み進めていくと、大きい父さんが怖い顔でるーを見下ろしている場面まであります。
ある日、るーは父さんのラッパがならなければいい! という名案を思いつきました。さて、彼がとった方法は……? そして、その後の思いがけない展開とは……?
難病を克服して東京オリンピックに出場した水泳の池江璃花子選手は「努力は必ず報われる」と言っていましたが、ルーの場合も同様であったと言えるでしょう。
小さくてかわいいるーも、きっと努力を重ねてもっと立派なラッパの演奏家に成長していくに違いないと思いました。
はらはらどきどきする場面もあって、子どもたちが大好きな絵本の一冊です。
にこっとポイント
- かわいいこぶたががんばる、はらはらどきどきの、子どもたちが大好きな絵本の一冊です。
- らっぱの稽古の場面のテキストに、らっぱのリズムが書かれています。これはリズミカルに楽しそうに読んでほしいところです。絵本の展開に立体感が加わります。
- 1969年に「こどものとも」(年中向き)として発行された、ロングセラーです。
(寄稿: 絵本専門士<東京都> 鴫原晶子 / 保育者養成校講師)