『たまごからうまれた女の子』谷真介文、赤坂三好絵、俠成出版社、1991 amazon
むかし、あるところに、子どものいない金持ちの夫婦がいました。ある日、家の前にたまごがたくさん入った箱が置いてありました。たまごの数は、なんと50個。とても育てられないと、夫婦は箱を川に流します。
その箱は、川下の貧しい夫婦に拾われました。やがて、たまごから生まれてきたのは50人の女の子だったのです。
そんなに!? たまごから50人の女の子が生まれてきた!
「たまごから女の子が50人うまれる」なんて、興味をひきますよね。
突拍子もないのですが、たまごの殻から顔をのぞかせる子どもたちが描かれた表紙が、なんともかわいらしくて、つい手に取ってしまいます。絵本の中に並ぶ50人の女の子たちのふくよかな顔も、きゃっきゃっとにぎやかな声が聞こえてきそうな魅力があるのです。
もっと知りたい! ひな祭りという行事
「ひな祭りってなあに?」と子どもから問われたら、答えられるでしょうか。ただおひな様、お内裏様を飾って、歌を歌っておしまい、なんてもったいない!
女の子の健やかな成長を祝う行事― その由来は? どんな思いを込めて過ごす日? 菱餅の3色の意味は? 詳しく知ると、ひな祭りをさらに楽しめるようになるはずです。
この絵本の、「子どものいない夫婦が女の子をたくさん授かり、やがて孝行娘になる」という昔話は、長崎地方であちらこちらの村へ伝えられ、女の子の健やかな成長を願うひな祭りへとつながっていったとされています。
昔から伝わるお話には、語り伝えられてきた人々の思いが込められています。昔話に親しみ、行事をよく知るきっかけとしてぜひ手に取ってほしい1冊です。
にこっとポイント
- この絵本は、全13巻の「行事むかしむかし」のシリーズです。各月にちなんだ昔話や由来話が1月から12月まで揃っているので、季節に合わせて読んでみるのもおすすめです。日本の伝統行事への興味にもつながるのではないでしょうか。
- 子どもを授かる幸せ、親孝行をする幸せ、どちらの幸せにも気づかせてくれます。
- ひな祭りの絵本として、子どもへの読み聞かせにおすすめです。
(にこっと絵本 Haru)