『きんぎょのおまつり』高部晴市作、フレーベル館、2000 amazon
「ドンドンドン」「カラカッカ」「ドドンガドン」― 遠くのお店から、太鼓の音が聞こえてきます。
フーちゃんは、おかあさんに浴衣を着せてもらって、お祭りの支度です。
それを見ていたきんぎょのアカさんは、「フーチャン ドコヘ イクノ?」。
「アカさんも行く?」と尋ねられたアカさんは、「イッチャウ イッチャウ ドコデモ イッチャウ」とノリノリのお返事です。
なぜか金魚鉢から出て歩いて移動するアカさんには、突っ込みどころ満載なのですが、金魚すくいの屋台で、金魚すくいをしようという展開には、さらに驚きです。
おまけに、金魚すくい屋さんの金魚とアカさんは、お友達なんですって!
櫓の上では太鼓が鳴り、最後には、金魚すくいの金魚たちも水槽から飛び出して、みんなで盆踊りを楽しむのでした。
大判のサイズに、高部晴市さんの迫力あるイラストが映えるこの作品。私が子どもの頃に見た風景が描かれていて、絵本の中に昭和の風が吹いているようです。
うちわを持って汗をかきかき夜店を回り、盆踊りを楽しむ。
この夏は、人が集えるイベントが各地で行われることでしょう。久しぶりに夏らしい体験ができそうですね。
にこっとポイント
- きんぎょのアカさんがお祭りに出かけます。大判のサイズに、迫力あるイラストが映える作品。絵本の中に昭和の風が吹いているようです。
- 夜店のページをじっくりと見てほしいです。アカさんはどこにいるかな? フーちゃんは何を食べているかな? どんなお店があるでしょう? とにかく描きこまれている絵を楽しんでください。
(にこっと絵本 森實摩利子)