保育士を目指す学生さんから、「保育士として知っておきたい絵本を紹介してほしい」というリクエストをいただきました。
オンライン授業が多く、少しでも自分で学びを進めておきたいという前向きな気持ちにお応えするのは、絵本専門士で、保育者養成校の講師でもある、鴫原晶子さんです。
幼児向けに続き、乳児向けのおすすめ絵本をご紹介します。
年齢別のポイント
0~1歳の赤ちゃんたちには、読み聞かせをする前に、絵本のページを開いたり閉じたり、時にはかじったりして絵本と遊んで仲良くなってもらいたいものです。そうしている時も、赤ちゃんたちは絵本の絵を見ていますから、絵がはっきりしていて、日々の生活や遊びと結びつくものがテーマになっている絵本を選んでほしいと思います。
1~2歳の子どもたちには、複雑ではないストーリー性のある絵本も読んであげてください。日本語を母国語として獲得しつつある乳児には「ことば」も意識して、正しい表現がなされているかについても注目してください。
保育士を目指す学生さんが読んでおきたい0歳児・1歳児向け絵本・5選!
1. 『くだもの』
『くだもの』平山和子さく、福音館書店、1981 amazon
美味しそうな果物を「さあ、どうぞ」と差し出してくれています。たくさんの果物が出てきますが、どれも子どもたちにもお馴染みのものばかりです。子どもたちはモグモグ食べながらおいしいね」というように、読み手のことも笑顔で見てくれますよ。
2.『おつきさま こんばんは』
『おつきさまこんばんは』林明子さく、福音館書店、1986 amazon
屋根の上の猫たちはまん丸いお月さまとお話ししているのでしょうか? 雲に隠れて見えなくなって、そして雲がいなくなってしまうと、笑顔のまん丸お月さまが現れます。裏表紙に描かれているお月様もしっかり見てください。
3.『くっついた』
『くっついた』三浦太郎、こぐま社、2005 amazon
仲良し同士も親子も、ほっぺとほっぺをくっつけて……「くっついた!」。画面いっぱいに幸せがあふれます。こういう経験は赤ちゃんの時からたくさんやってほしいですね。
4.『どんないろがすき』
『どんないろがすき』100%Orange、フレーベル館、2016 amazon
歌い読み(※)をする絵本です。見ている子どもたちも参加します。裏表紙に楽譜がついていますから、安心して歌い読みができますよ。
絵本のテキストを歌いながら読むことです。エリック・カール作『月ようびはなにたべる』も、子どもたちに参加してもらいながら読み進めることができます。
5.『おやゆびさん』
『おやゆびさん』風木一人作、ひろかわさえこ絵、鈴木出版、2012 amazon
「おやゆびさんはいいねぇ。どのゆびともなかよくなれる……。」
この絵本には右手しか登場しません。一本一本の指に目鼻がついていて、お隣の指や一つ先の指と笑顔で仲良く挨拶をしています。親指は他の指とちょっと離れているけれど、実は一番簡単に挨拶ができるのです。
読みながら子どもたちにそっと目を向けると、一生懸命に人差し指と薬指をくっつけようとしている姿が見られます。大人も思わずやってみたくなります。
(寄稿: 絵本専門士<東京都> 鴫原晶子 / 保育者養成校講師)