絵本は読むだけではありません。歌い読みという方法もあります。
『月ようびはなにたべる?』 エリック・カールえ、もりひさしやく、偕成社、1994 amazon
『月ようびは なに たべる?』は、『はらぺこあおむし』でおなじみの、エリック・カールの絵本です。この絵本には、目立ったしかけはありません。
しいて言えば、読み進めるのではなく歌い読みをすること、ページを戻しながら読むこと……でしょうか。
♪「月ようびは さやいんげん」「火ようび は スパゲティ、月ようび さやいんげん」「水ようびは ゾープ、火ようびスパゲテ ィ、月ようび さやいんげん」と、子どもたちに親しみのある動物たちが、曜日ごとにいただくものを紹介してくれます。
最後は、子どもたちが大きなテーブルの上のたくさんのごちそうを囲んでパーティの場面で終わります。
土曜日にはきつねが鶏をくわえて登場しますが、歌いながら読むこと、月曜日までページを戻していくことで、残酷さは感じられないと思います。
絵本の後ろに、楽譜があり、これに従って歌い読みをしますが、普通に読んでもいいのです。
ジィーッと絵を見ていた、小2の女の子の疑問とは?
先日、小2の女の子に歌い読みをしてみました。『はらぺこあおむし』は知っているものの、この絵本は初めてとのこと。ジィーッと絵を見ていました。
読み終わったとたんに「表紙のネコがどこにもいないね!」― これには驚きました。
そして最初のページから一緒にネコ探しをしてみました。その結果、最後のページ(パーティの場面)の右下にいるネコが、表紙のネコではないか?という結論に達しました。
皆さまはどうお考えでしょうか? ぜひ、ご確認いただきたいと思います。
にこっとポイント
- 歌い読みにこだわらずに、楽しんでください。
- エリック・カールはしかけ絵本の第一人者です。彼の「しかけ」に対するコンセプトは、実に多岐に渡っていて、その比較をするのもおすすめです。
たとえば、ページに穴があいている『はらぺこおあむし』、ページが縦横に広がる『パパ おつきさま とって』、ページの形が様々な『たんじょうびのふしぎなてがみ』や、音が鳴る『だんまりこおろぎ』『ゆめのゆき』、色彩の残像現象を利用する『こんにちはあかぎつね』……などなど。
絵本と遊んでほしい、というエリック・カールの思いがあちらこちらに表れています。
(寄稿:絵本専門士<東京都> 鴫原晶子)