PICK UP! 雪と氷の絵本
太陽といっしょ

『太陽といっしょ』新宮晋文、クレヨンハウス、2017 amazon

おはよう、太陽さん。外に出ると、太陽に照らされて伸びる自分の影。

自転車に乗って、出かけよう。友だちを誘って、冒険へ。

太陽といっしょ_中ページ

花の香りがいっぱいの野を抜け、大きな木の下で一休み。寝転がった視線の中で、光がゆらゆらと揺れるのを感じ、森の中でピクニックに、かくれんぼ。

冒険の世界は膨らみ、不気味な霧が立ち込めたり、恐竜がずしんずしんと現れたり。

子どもの頃の冒険、想像の世界は日常のすぐ近くにいつも在る、と、この絵本はいっているようです。

太陽とともに冒険へ出て、太陽が沈むのに合わせて冒険を終え、家へと戻る。そんな自由な時間を感じさせてくれ、また大人は子ども時代の思い出を思い起こすことができるような絵本です。

太陽とともに冒険は始まる

この絵本は、すべてのページが、「わたし」の視点からのアングルで描かれています。

太陽といっしょ_中ページ2

ですから、読者はまるで自分が主人公になったかのように、この絵本に没入していけるのです。

ぼくが小さかったころ、さびだらけの自転車が一台あった。この自転車は、世界中どこにでも行ける魔法の乗りものだと、ぼくは信じている。(中略)毎日毎日が冒険と発見の連続だった。そして思い出の中では、いつも太陽がいっしょだった。

(作者あとがきより)

作者・新宮晋さんは、風や水といった自然エネルギーで動く彫刻を作るアーティストです。たとえば、箱根の彫刻の森美術館には、彼の作品が何点か野外に常設されています。そんな彼の幼少期の記憶、視点からこの絵本は描かれています。

この絵本の一場面のように、少し暗くなってきた頃に、取り残されてしまうような焦燥感に駆られて自転車を一心に漕いで家に帰った記憶や、似たような経験が思い起こされる人もいるのではないでしょうか。

太陽とともに冒険へ出て、太陽が沈む頃に冒険は終わり、「おかえりなさい」と迎えてくれる人のもとへ戻る― そんな自由で、発見に満ちた日々をこの絵本は普遍的に描いているように感じます。

夏至を迎え、太陽が高く、長く私たちを照らす季節がまたやってきました。わたしたちの夏は、どんな冒険と発見に出会うものとなるでしょうか。

にこっとポイント

  • 太陽とともにある冒険が、「わたし」の視点で描かれ、まるで自分の経験していることのように絵本を味わうことができます。
  • 子どもの頃の冒険、想像の世界は日常のすぐ近くにいつも在る、とこの絵本はいっているようです。
  • 作者・新宮晋さんは、風や水といった自然エネルギーで動く彫刻を作るアーティストです。そんな彼の幼少期の記憶、視点から、この絵本が描かれました。

(にこっと絵本 Haru)

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