晴れた空を見上げた時、ふと、絵本の一文が思い出されました。
人間が海の表面だと信じているものを
魚たちは空気の天井だと思って暮らしているのかもしれない
『じんべえざめ』新宮晋作・絵、文化出版局、2013 amazon
『じんべえざめ』に出てくる文章です。
空を見て、海のずっと深いところで暮らすじんべえざめのことを思い出すなんて、なんだかおかしいですね。
じんべえざめは、大人になるのに30年以上かかり、寿命は100年だそうです。
世界最大の魚で、全長は18メートル、体重は40トン。深い海の中を、人が歩くのと同じくらいの速度で悠々と泳ぎます。
青くどこまでも透き通る空を見上げていると、その圧倒される大きさに対して、自分の存在の小ささを感じたのでした。
ダイナミックな構図は、時に全体を描き、時にクローズアップされた部位を描きます。
2ページにわたって青・白・黒で描かれるその姿から伝わるのは、雄大なその存在感。
居る場所が違えば、同じ景色でも見え方は変わります。
大きな流れに身を任せてみることや、小さな事ばかりに気を取られず大きく広い視野をもつこと― そんなこともこの絵本は感じさせてくれます。
じんべえざめを英語で言うと「WHALE SHARK」ってご存じでしたか?
この絵本は、日本語の下に英語も載っています。
英語で味わうじんべえざめも、ぜひ、体験してみたいものです。
にこっとポイント
- じんべえざめの雄大なその存在感とともに、小さな事ばかりに気を取られず大きく広い視野をもつことなども感じさせてくれます。
- 暑中見舞いのはがきをいただきました。切手のところには、枠をはみ出すほどのじんべえざめがいましたよ。
(にこっと絵本 森實摩利子)