かき氷、と聞くだけで不思議と心が弾みませんか? 『かき氷』の表紙のかき氷も、おいしそうで涼しげで、表紙を見せて置くだけで、子どもも大人も思わず手を伸ばすほど。でも実は、このかき氷、ちょっと特別なかき氷なんです。

それは、冬に自然の寒さだけで凍らせた天然の氷を使っていること。

かき氷 天然氷をつくる

『かき氷 天然氷をつくる』細島雅代写真、伊地知英信文、岩崎書店、2015 amazon

 

『かき氷』は、今では全国でも数軒となってしまった氷屋(製氷業)を営む、埼玉県の阿左美(あさみ)さんの氷づくりを追った写真絵本です。

氷づくりの準備を始めるのは夏の終わり。11月頃に氷池に水が入ると、採氷(切り出し)をする12月末から2月くらいまで、毎日何度も氷を見回り、落ち葉をすくったり、雪を掃除したり、氷の世話をします。

プールのような氷池にできる大きくて厚い氷、代々工夫されてきたという道具、そして細心の注意を払うプロの技には、目を奪われます。口の中であっという間に溶けてしまう天然氷の中には、冬の空気や、大事に育てられた時間や熱い思いが詰まっているのですね。

自然の力を借りること、代々伝わってきた技術や知恵、コツコツと積み重ねられた時間― それらをことさらに強調しているわけではないのに、自然と「ああ、すごいなあ」という気持ちが湧き上がってきます。

やっぱり食べたいかき氷!

天然氷の断面、天然氷が溶けるときに見られる「チンダル像」(アイスフラワー)、広い氷池と、印象的な写真ばかりの絵本ですが、誰もがにこっとしてしまうのは、やはり、色とりどりの蜜のかかったかき氷。

「あとがき」のページには、この絵本の掲載されたかき氷の蜜の味が紹介されているので、お見逃しなく。いちごに宇治金時、落花生ミルクにさくらにコーヒーキャラメル! 食べたくなること、必至。ある意味、危険な絵本です。

「つめたくて、おいしいかき氷。つめたいけれど、食べたあとは、なんだか、気持ちがあたたかになる」

しあわせ運ぶかき氷、今年は絵本から、召し上がれ!

にこっとポイント

  • 天然氷がどのようにできるのか、手間をかけた作業の様子を迫力のある写真で見ることができます。おいしさと涼しさをお楽しみください。
  • プロの仕事が、働くことや生き方について悩んでいる中高生や大人にも、響きます。

 

(にこっと絵本 高橋真生)

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