夏の暑い日、夕立が運んでくる不思議な体験。
『ゆうだち』あきびんご作・絵、偕成社、2012 amazon
夏の夕暮れ。もくもくと雲が空を埋め尽くしザーッと一雨来る頃には、世界が一変して、恐ろしさすら感じてしまうことがあります。
酷暑と言われる今年の夏、夕立が降ると少しは涼しくなっていいものだなんて思いますが、この絵本の主人公のヤギは、夕立のせいで怖~い思いをしました。
夕立にあって雨宿りに飛び込んだのは、なんとオオカミの家だったのです。
はじめは親切だったオオカミは、だんだんと本性を現し始めます。三味線を弾きながらゴニョゴニョと唄うのは、ヤギを食べようという内容。ヤギは、どうやら自分は食べられる運命にあると気づきます。
食べられてなるものか!
ヤギのここからの快進撃がおもしろいのです。
「ゆうだちが きたら おかしくなる」「むしゃくしゃして へんになる」ヤギの歌は、それはもうオオカミを震え上がらせました。
結末は読んでからのお楽しみ。
少々、読み手のテクニックが必要とされますが、練習してお話会なんかで読むと、子どもたちを驚かすこと間違いなし!
夏の暑い日に、「うわっ!」と思うような不思議な体験をぜひ味わってください。
にこっとポイント
- この絵本の大事なポイントは、「三味線」と「うた」。おおかみとやぎの唄のくだりをどうするのかは、読み手次第。あなたのオリジナルの節回しで朗々と歌ってください!
(にこっと絵本 森實摩利子)