今日は今年で、明日になると来年、という不思議。

くまのこのとしこし

『くまのこのとしこし』高橋和枝作、講談社、2010

ある朝、くまのお父さんが言いました。「もうすぐ ことしも おわりだね」。それを聞いた、くまのこは、びっくり。「ことしが おわるの?おわったら どうなるの?」

すると、くまのお母さんが、「ことしが おわったら らいねんが くるのよ」と教えてくれました。

そして、くまのこは、お父さん、お母さんと一緒に、まもなくやってくる「来年」のために、家の中の掃除をしたり、お買い物に行ったりします。

外では、みんな、忙しそう。「来年」のために、たくさん、やることがあるんです。

家に帰ると、お父さんは、松飾りを飾って、お母さんはおせち料理作り、くまのこも「来年」のために、飾りを作ったり、おやつを準備したりします。

小さな子どもは、「今年」が終わるということや、「来年」というものが何か、よくわからないですよね。今日は今年で、明日になると来年…… 考えてみたら、不思議です。

この絵本は、大みそかの一日と、新しい年を迎えた瞬間が、くまのこの視点で描かれていて、小さな子どもにも、「こんな感じかな」と伝わりやすいと思います。

新しい年になっても、目に見えて、何かが変わるわけではなく、いつもと変わりはありません。なのに、なんだか、清らかな気持ちになったり、すっきりと新たな気持ちになったりします。

「来年」が来たときの、くまのこの様子は、大人も共感してしまうと思います。

もうすぐ、私たちのところにも「来年」がやってきます。ぜひ、その前に、親子で、『くまのこのとしこし』を楽しんでください。そして、残り少ない「今年」を大切にしながら、「来年」を迎える準備をして、特別な時間「年越し」を過ごしてください。

にこっとポイント

  • くまの家族と一緒に、日本の大切な行事「年越し」を知ることができます。巻末には、「年越し」について、日本の文化や風習が記載されています。
  • くまのこのことば、行動がかわいらしい。高橋和枝さんの描く、柔らかくて、温かな色彩と絵に優しい気持ちになります。

 

(寄稿:絵本専門士<横浜市>えほん・とんとんみーず Yusaka 「こどもの本のみせ ともだち」

おすすめの記事