ぐうたらねこのねこきち、ふと、こんなことばを耳にしました。「雨が金で買えるなら、おら、いくらだしてもいいくらいだ」
『あめふりうります』平田昌広文、野村たかあき絵・原案、講談社、2014 amazon
「ねこが顔を洗うと雨が降る」と言いますが、ぐうたらなねこきちが長い間顔を洗っていないので、あたりは日照り続きなんです。
ただ顔を洗うだけでお金になるなんて!
ということで、ねこきちは商売を始めました。いろんなお客さんがねこきちの元にやってきて雨を降らせてほしいと頼みます。
ねこきちが呪文を唱えて顔を「ごしごしごし……」とこすると
「ザザザザザ…」と、雨が降る。
こんな繰り返しがおもしろく、物語はテンポよく進んでいきます。そうしてあるとき事件が起こるわけですが、それは、読んでからのお楽しみ!
6月の読み聞かせにぴったりな『あめふりうります』。うっとうしい雨も、どこかでねこきちが顔を洗っているのかもなんて思うと、楽しくなっちゃうから不思議です。
版画のイラストや落語の語り口調は、子どもはもちろん高齢者もみんなが楽しめそう。お子さんがおじいちゃんおばあちゃんに読んであげるのもいいですね。
にこっとポイント
- 絵本の中に三つのことわざが出てきます。どれも「よっ! 座布団一枚!!」と言いたいくらいの絶妙さなんです。ぜひ声に出して読んでいただきたい作品です。
(にこっと絵本 森實摩利子)