「やぁ!」と手をあげ、つぶらな瞳でこちらを見つめてくるバッタの顔。
『だれだかわかるかい? むしのかお』今森光彦文・写真、福音館書店、1991 amazon
なんともいえない愛嬌のある表情に引き込まれ、絵本を手にとると、さまざまな虫たちのクローズアップされた顔が紹介されていました。
「ぼくがだれだかわかるかい?」と、こちらをのぞきこむように問いかける虫たち。
登場するのは、トノサマバッタ、カブトムシ、カミキリムシ、ヒグラシ、ハナアブ、アゲハチョウ、ハンミョウ、シオカラトンボ、コガネグモなどなど、まさに盛りだくさんです。
虫たちの目や口をじっくりと見ていくことは、その生態を知ることでもあります。何を食べるのか、どのように食べものを得るのか、体にはどのような機能があるのか。その一つ一つが、虫たちがどう生きるかにつながっているからです。
「知ってる!」「見たことある!」という虫でも、よく顔を見てみると新たな一面を発見できるのも、楽しいところです。
前から後ろまでよく見えるトンボの大きな複眼、ふさふさとした毛につぶらなクモの8つの目― 絵本を通して虫たちと見つめあっていると、機能以上の美しさと神秘さえ感じます。
虫好きの方も、虫はちょっと……という方も、ぜひこの絵本で新たな虫たちの魅力に出会ってみてくださいね。
にこっとポイント
- クローズアップされた虫の顔から、虫の生態について考えることができる、写真絵本です。ユーモアを交えながら紹介してくれているので、クイズ感覚で楽しみながら読めます。
- 大人も子どもも、「わぁ!」と盛り上がりながら読める絵本です。すぐに虫取りをしに家を飛び出したくなるはずです。
(にこっと絵本 Haru)