お正月、当たり前のように準備する「しめ飾り」には、こんな秘密がありました。

しめかざり

『しめかざり』(たくさんのふしぎ傑作集)、森須磨子文・絵、福音館書店、2008 amazon

あけましておめでとうございます。今日、道を歩けばそこここでしめ飾りを見ることができますね。

そのしめ飾りをジーッと観察してみてください。形や飾りが少しずつ違っていませんか?

そもそも、しめ飾りって何なのでしょうか? しめ飾りのワラはなぜ青々としているのか、誰が、どこで、どんな風に作っているのか― 見れば見るほど、謎は深まります。

そんな疑問に応えてくれるのが本書『しめかざり』です。作者・森須磨子さんが全国を歩いて調査しているしめ飾りの、由来や材料、作り方などが分かる絵本です。

たとえば、しめ飾りは、作り手や飾り場所で違うだけでなく、地域によってさまざまな形があるんですよ。

しめかざり_地図

こちらが全国のしめ飾りを地図で示したもの。豊作・長寿・繁栄― 地域によってしめ飾りに込める願いが違うからこそ、形も変わってくるのかもしれません。

山形県鶴岡市のしめ飾りは、俵の形をしています。一つ作るのに1日半もかかるそうです。

しめかざり_地図

このしめ飾りを作ったワラ細工の名手・大久保さんは、こう語ります。「気持ちをこめて作っているから手間は惜しみませんよ」

大久保さんだけでなく、この絵本に出てくる職人さんたちは皆、とても丁寧にしめ飾りを作ります。その姿から、しめ飾りが神聖なものであったこと、お正月が日本人にとって大切な節目であったことが伝わってきます。

私が『しめかざり』を手にとったのは、表紙に惹かれたからでした。太くていかにも力強いしめ飾りと、鮮烈な紅白の堂々たる美しさに、目が離せなくなりました。

読んでみると、しめ飾りの奥深さに驚かされました。

けれど、何より、絵本から伝わるエネルギーに圧倒されました。日本全国、しかも昔から現代までの「だれかの大切な気持ち」が真っ直ぐに胸に届きます。

「今年が、いい年でありますように」

しめ飾りは、おめでたく、どこか切なくもあるそんな思いをのせている― そう思うと、お正月の景色がまた違って見えてきます。もしかしたら「あらたまる」というのは、こういうことかもしれませんね。

新年の1冊目に、『しめかざり』、ぜひお読みください。

そして、今年も、にこっと絵本をどうぞよろしくお願いいたします。

にこっとポイント

  • 日本の伝統文化である「しめ飾り」の由来・作り方・作り手の思い、全国で作られるしめ飾りの違いなどが分かり、お正月がますます楽しくなります。
  • 新しい年への、人々の希望や祈りに触れ、心があらたまります。
  • デザインが美しく、何度見ても見飽きません。ぜひ飾ってください!

 

(にこっと絵本 高橋真生)

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