見えなくても、つながっている世界があります。

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『じめんのうえとじめんのした』アーマ・E・ウェバーぶん・え、藤枝澪子やく、福音館書店、1968  amazon

私は、座り込んでじっと地面を見つめている小さな子に出会うと、この子には土の中のダンゴムシやアリの巣が見えているのではないかと、ついその子を見つめてしまいます。

『じめんのうえとじめんのした』は、普段は目にすることのない、地面の下を見ることができる絵本です。

作者である植物学者ウェバーが用いるのは、地面の上と地面の下を区切る真っ直ぐ引いた一本の横線と、黒・白・グレーにオレンジと緑というシンプルな配色、しっかりと特徴をとらえた素朴な絵、そしてほんの少しのことば、ただそれだけです。

でも、不思議と、動物と植物の違い、植物にもいろいろな種類があること、葉や根の役割が、スーッと染み込むように分かってしまうのです。きっと一本の線、一つのことばに、多くの意味が込められているのでしょう。

子どもたちは、特にニンジンとジャガイモの説明に目を丸くします。同じように土の中で育っていても、食べている部分は違うのですから、驚きですよね。実際にニンジンじゃジャガイモを食べるとき、「これは根っこだよ」「茎だよ」とうれしそうに教えてくれます。

世界を色づかせてくれる、新しい発見

植物だけが太陽の熱で栄養を作り出し、他の生きものはそれを食べることによって生きている― この目に見えない大きなつながりにハッとする人も多いのではないでしょうか。

知らなかったことを知ったとき、知ってはいても意識していない「事実」に改めて気付いたとき、世界が急に鮮やかに感じられます。

もしかしたらそれは、子どもの目に近いのかもしれません。

『じめんのうえとじめんのした』は、見えないものを見せてくれる絵本です。

にこっとポイント

  • シンプルで分かりやすい、科学絵本のロングセラーです。子どもが無理なく自然の仕組みを知ることができます。
  • 大人が読んでも、普段意識しない自然界のつながりに改めて驚かされます。

 

(にこっと絵本 高橋真生)

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