母の日におすすめ。「大好きだよ」と子どもに伝えたくなったら―。
『ぼくにげちゃうよ』マーガレット・W・ブラウン文、クレメント・ハード絵、いわたみみ訳、ほるぷ出版、1976 amazon
ある日、家を出てどこかへ行ってみたくなったこうさぎは、かあさんうさぎに言いました、「ぼくにげちゃうよ」。かあさんうさぎは、こう答えます― 「おまえがにげたら、かあさんはおいかけますよ。だって、おまえはとってもかわいいわたしのぼうやだもの」。
子どもの冒険心と、それに応える母の愛
いろいろなことに挑戦したい、親の手から離れてみたい― こうさぎのそんな空想に、かあさんうさぎは優しく答えていきます。
たとえば、こうさぎが誰も知らない庭のクロッカスになったら、植木屋さんになって見つけてくれます。小鳥になって逃げていったら、木になってとまりに帰ってくるのを待っていてくれます。そして、最後には、帰る場所にいて抱きしめてくれるのです。
受け止めてくれる相手がいると気づけたことで、きっとこうさぎはどこからでも安心して戻ってこられるでしょう。決して押しつけがましくない、でもどんな危険の中でも忍耐強く見守ってくれる母の愛。そんな心強い温かさを、こうさぎとともに子どもたちは感じることができるのではないでしょうか。
読み聞かせに最適! 親子の時間づくりに
1946年にアメリカで出版されて以来、親子に読まれ続けている『ぼくにげちゃうよ』。長く愛される理由は、心温まる内容だけではありません。
まず一つ目は、サイズ。18×21cmの持ちやすい大きさのため、手軽に手に取ることができます。
二つ目は、読みやすい構成だということ。白黒とカラーのページの繰り返しでうさぎの母子のやりとりを描いているため、小さな子どもでも分かりやすくやりとりを楽しめます。
どんどんとめまぐるしく成長していく子どもたち。親としては、時に試されているように感じたり、自分の手を離れていってしまう寂しさを感じたりする時もあるかもしれません。それでも、大好きだよ、とお子さんに伝えたいと思ったら― ぜひお子さんとの親子の時間にこの絵本を手に取ってみることをおすすめします。
にこっとポイント
- うさぎの母子のやりとりを、親子のコミュニケーションにつなげることができます。
- この絵本の後に出版された、『おやすみなさいおつきさま』も同作者・画家のタッグ。『ぼくにげちゃうよ』の一場面が、作中の壁にかかる絵として登場するなど、見つけてうれしいつながりもあります。ぜひ探してみてください!
(にこっと絵本 Haru)