暑い夏、ソフトクリームの紳士、ミスター・ソフティークリーミーは、日陰の道を探して街を歩きます。てくてく、てくてく。

『ミスター・ソフティークリーミー まちをゆく』くりはらたかし、佼成出版社、2024 amazon
なにしろ日に当たると溶けちゃうし、なめられたらたまったもんじゃない、妖怪「ヒトクチチョーダイヨン」もいるので、気を抜けません。

そんなことに気を付けながら、ミスター・ソフティークリーミーは、ひたすら日陰の中をゆくのです。
まず、ソフトクリームが歩くという発想に驚きます。影しか通らないというのも、日差しのある場所ではすぐに溶けてしまうソフトクリームの特徴をよく生かしていますね。
そして、謎の妖怪、「ヒトクチチョーダイヨン」の登場も、とてもユニーク!

びよ~んと長い舌を出した口に、目と手のような足のようなものが2本ついただけのヒトクチチョーダイヨンは、一見、とても奇妙ですが、炎天下、もし街を歩いているソフトクリームを見かけたら…… と想像してみると、誰もがヒトクチチョーダイヨンになっちゃう気もしちゃいます。
途中、読者も、ミスター・ソフティークリーミーの通り道を考えることができるページがあって、楽しみながら読み進めることができます。
読んだ後、「もしかすると、自分住んでいる街にも、ミスター・ソフティークリーミーが、てくてく歩いているかもしれない」と思えてきちゃう絵本です。
さて、てくてく歩くミスター・ソフティークリーミー、さていったいどこに向かっているのでしょうか。無事、日陰だけを通って、目的地に辿り着けるのでしょうか。
ソフトクリームが主役のユーモアあふれる冒険物語、お楽しみください。
にこっとポイント
- ソフトクリームの紳士、ミスター・ソフティークリーミーが、日陰を通りながら街を冒険するユーモラスな物語です。
- コーンスリーブをイメージさせる見返しのデザインや、物語の続きを想像させる裏表紙もお見逃しなく!
- 街には、様々な形の影があることに気づけたり、影に興味を持ったりするきっかけにもなります。
(にこっと絵本 SATO)