魚なら、みんな泳げて当然だと思っていませんか? でも、この絵本には、泳げない魚が登場します。
『およげないさかな』せなけいこ、ポプラ社、2015 amazon
海の底でたくさん魚が生まれた中の、一匹だけ泳げない子。それが、表紙の絵に描かれた涙を流している赤い魚です。
「あー どうして ぼく およげないんだろ」。這って進んでいると、波打ち際で、同じように泳げない男の子に出会います。
泳げない魚と男の子は、泳げないならスイミングスクールへ行けばいいとアドバイスをもらい、一緒に行ってみることにしました。
泳げなくて落ち込んだ魚が、落ち込んだままでは終わらず、同じ悩みを抱えた男の子とスイミングスクールへ行ってしまうという、その展開がとてもユニークです。
スイミングスクールの場面では、赤い魚も、人間の子どもたちと一緒に、帽子と水着を着て飛び込み台に並びます。この姿もとてもかわいく、ますます泳げるようになるよう応援したくなります。
さて、二人は、泳げるようになるのでしょうか?
作者は、『ねないこだれだ』『おばけなんてないさ』『おばけのてんぷら』等、楽しいおばけの絵本で人気のせなけいこさん。
泳げない魚を赤で描き、他は主に白と黒で表現している絵が、とても印象的です。文も、小さな子どもでも分かりやすいように、シンプルにまとめています。
自分ができないことや苦手なことでも、できるようにチャレンジしてみることの大切さが伝わってきます。
にこっとポイント
- 泳げない魚が、泳げない男の子とスイミングスクールへ通う、ユニークで、心あたたまるおはなしです。まだ泳げない子や泳ぎを練習中の子にも、おすすめの絵本です。
- せなけいこさんにはめずらしく、貼り絵を使用していない作品で、白・黒・赤の三色を使用した絵にも、特徴があります。
(にこっと絵本 SATO)