春のあたたかさと自然の中の子どもの姿に、懐かしささえ覚えます。

わたしとあそんで

『わたしとあそんで』マリー・ホール・エッツぶん・さく、よだじゅんいちやく、福音館書店、1968  amazon

一人で春の野原に遊びにきた女の子が、葉っぱの上や草の中、木の枝、池のほとり……に現れる小さな動物たちに、声をかけます。

「わたしとあそんで」

でも、どの動物も女の子の呼びかけに応えずに逃げてしまいます。

しかたなく女の子が池のほとりの岩の上に腰を下ろして、じぃーっとしていると― 何ということでしょう。さっき声をかけた動物たちが近づいてくるではありませんか!

それでも動かないでじぃーっとしていると、子鹿が寄ってきて女の子のほっぺたをペロッとなめたのです。女の子のその嬉しそうな顔! 思わず読んでいるこちらも笑顔になります。

表紙の女の子は目をまん丸くして口は真一文字。表情がありません。

でも、最後のページをご覧になってください。

楽しくって嬉しくってしかたのない女の子が、小躍りしながらお家に戻る姿があります。見ている子どもたちにも読み手にもその感情が伝わる場面です。

この絵本は、春を楽しむ季節にぜひ読んでいただきたいです。お散歩先の野原などで読み合ってもいいですね。

にこっとポイント

  • 『もりのなか』『またもりへ』その他優れた絵本をたくさん書いたマリー・ホール・エッツの有名な作品です。原書は1955年にアメリカで出版され、日本では1968年8月に出版されました。今でも書店に置かれている、ロングセラーです。
  • 原題は「PLAY WITH ME」。邦訳はそのまま「わたしとあそんで」です。よけいなことを加えないこのストレートさもいいなぁ! と思います。

(寄稿:絵本専門士<東京都> 鴫原晶子)

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