表紙に金のメダルが貼られた絵本を見たことがありますか? 実は、そのメダルは「コールデコット賞最優秀賞受賞作」の印なんです。
それから、絵本の帯や紹介文に「BIB受賞!」などと書かれていることがありますね。これは、いったいどんな賞なのか、どのくらいすごいのかピンとこない…… という方も少なくないようです。
そこで、今回は、海外の絵本賞と絵本部門のある児童文学賞、その受賞者(敬称略)や受賞作品をご紹介します。
絵本選びの参考になるのはもちろん、受賞作をまとめて読んだり、絵本賞のニュースが楽しみになったり、絵本の世界が広がりますよ!
国際アンデルセン賞
Hans Christian Andersen Awards
国際児童図書評議会(IBBY)より、作家の全業績を対象として贈られる。IBBY各国支部を通じて推薦された子どもの本を対象とする。1956年創設(画家賞は1966年)、隔年開催。
「小さなノーベル賞」とも呼ばれる子どもの本の分野における最高の賞で、今までに、日本人では、まどみちお・上橋菜穂子・角野栄子が作家賞を、赤羽末吉・安野光雅が画家賞を受賞している。
なお、2022年の日本の候補者は、作家賞が岩瀬成子、画家賞が荒井良二。
※村上春樹が受賞したハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞とは別の賞です。
コールデコット賞
米国図書館協会児童サービス協会(ALSC)より、その年にアメリカで出版された英語の絵本の中で、最も優れたものに贈られる。19世紀イギリスの挿絵画家ランドルフ・コールデコットの名にちなんで名付けられた、アメリカで最も権威ある絵本賞。1938年創設、毎年開催。
過去の受賞作には『かもさんおとおり』『かいじゅうたちのいるところ』『マドレーヌといぬ』『スイミー』などロングセラーとなっているものも多い。近年の作品には、『漂流物』『エイモスさんがかぜをひくと』などがある。また、受賞は1度だけとは限らず、マーシャ・ブラウンとデイヴィッド・ウィーズナーは、3度受賞している。
ケイト・グリーナウェイ賞
英国図書館情報専門協会(CILIP)より、絵の面で優れた絵本、本(挿し絵)に贈られる。
最初に英国で(もしくは、他国での出版後3ヶ月以内に英国で)出版された英語(英語を含む2ヶ国語)で書かれた作品を対象とする。絵本作家ケイト・グリーナウェイにちなんで名付けられた。1955年創設、毎年開催。
アメリカのコールデコット賞とはまた違う雰囲気の絵本も多いので、まとめて読み比べても楽しい。
受賞作には、『ガンピーさんのふなあそび』『さむがりやのサンタ』がある。
アストリッド・リンドグレーン記念文学賞
Astrid Lindgren Memorial Award
スウェーデン・アーツ・カウンシル(Swedish Arts Council)より、児童文学の作家や画家のほか、長く読書推進活動を続けている個人や団体に贈られる。
スウェーデンを代表する児童文学作家、『長くつしたのピッピ』で知られるアストリッド・リンドグレーンの功績を記念して創設された、国際的な児童文学賞。2002年創設、毎年開催。
日本人では、荒井良二が受賞。2020年は、韓国を代表する絵本作家である『天女銭湯』『あめだま』のペク・ヒナが受賞している。
ボローニャ・ラガッツイ賞(ボローニャ国際児童図書賞)
世界で最も歴史の長いブックフェアであるボローニャ・ブックフェア主催の、優れた児童図書に贈られる国際的な賞。グラフィック及び編集の両方の観点から審査される。1964年創設(1966年に専門家の選ぶ賞と子どもの選ぶ賞に分かれ、1995年統合)、毎年開催。
このブックフェアでは、「ボローニャ国際絵本原画展」も開催されるほか、毎年世界中から多くの児童書関係者が集まり、著作権の交渉などが行われている。
2017年に、『もうぬげない』(ヨシタケシンスケ)がフィクションの部の優秀賞を受賞。その他受賞作には、『1, 2, 3 to the Zoo』『水の生きもの』『本の子』などがある。
※『ボローニャ・ブックフェア物語: 絵本の町ができるまで』(市口桂子、白水社)もおすすめ!
ブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB展)
Biennial of Illustration Bratislava
スロバキアの首都ブラティスラヴァで開催される、世界最大規模の絵本の絵の原画コンクール。
スロバキア国際児童芸術館・スロバキア共和国文化省・スロバキアユネスコ国内委員会(BIBIANA)主催、ユネスコ・国際児童図書評議会(IBBY)後援。1967年創設、隔年開催。
対象は、IBBYまたはユネスコの各国支部を通じて推薦された絵本原画が対象とされる。国際アンデルセン賞と並ぶ権威ある賞で、グランプリ・金のりんご賞・金牌・出版奨励賞の各賞が贈られる。
日本では、瀬川康男『ふしぎなたけのこ』・中辻悦子『よるのようちえん』・出久根育『あめふらし』がグランプリを、田島征三『ちからたろう』・梶山俊夫『わらべうた』・はいじまのぶひこ『きこえる?』・ミロコマチコ『オレときいろ』などが受賞している。
ニューベリー賞
世界で最初の児童文学賞。ニューベリー賞受賞作にも、メダルのシールを貼られています。こちらもあわせてご覧ください。
→ 本好きの必読絵本『ニューベリーの物語』
※このリストは各賞のHPほか、下記を参考に作成しました。
- 国際子ども図書館HP <児童文学賞一覧(海外の主な児童文学賞)> 海外・国内の絵本賞が一覧できます。
- JBBY HP
- 「絵本 BOOKEND」2019年(通巻16号)絵本学会
(にこっと絵本 高橋真生)