新緑の美しい季節になりました。
この時季に、読みたくなる絵本があります。それは、『はこちゃん』。
『はこちゃん』かんのゆうこ作、江頭路子絵、講談社、2013 amazon
これは、はこちゃんという女の子が、名前の由来を知るお話です。
はこちゃんのお友だちのみくちゃんは、漢字で「未来」と書くんだそうです。ステキな未来がやってくるように、という願いがこもっています。
かのんちゃんは「花音」。綺麗な音が聞こえてきそうだからだそうです。
さて、はこちゃんは「葉子」と書きますが、名前の由来を知りません。
二人の由来を聞いて、自分もかわいい名前が良かったとうつむくはこちゃん。
そこにやってきた陽太くんは、「やーい、やーい、葉っぱの子~」とはこちゃんをからかいます。
たまらなくなって駆け出したはこちゃんが、公園でシクシク泣いていると、咲いているすみれが歌うではありませんか。
そらはみずいろ
くもはしろ
こもれびきらきら
わらってる
はこちゃんはあたりを見渡します。
一面の緑。さあっと吹く風……。
おうちに帰ったはこちゃんは、お母さんからステキな名前の由来を聞いたのでした。
名前って、生まれて初めてもらう、プレゼントなのかもしれませんね。
名前のこと。お友だちとのこと。そして、目にも優しい緑のイラスト。
新緑の美しいこの季節だからこそ、味わいたい一冊なのでした。
にこっとポイント
- 女の子が、初めて自分の名前の由来について知る物語です。
- 名前って、生まれて初めてもらうプレゼントなんだと思います。この絵本をきっかけにお子様と名前の由来についてお話ししてみるのはどうでしょう? 親御さんの名前の由来も、ぜひお子さんに教えてあげてください。
(にこっと絵本 森實摩利子)