あなたがいくらうっかり者だったとしても、きっと、このおじさんにはかないません。
『うっかりおじさん』エマ・ヴィルケ作、きただいえりこ訳、朔北社、2019 amazon
何かこちらに話しかけてきそうなおじさん。
おじさんは、メガネが見つからなくて困ってるんですって。そして、あなたに「みなかったかい?」と尋ねます。
あら、あなたは、ユーモアの持ち主なのかしら? 見つけたおじさんの眼鏡を、自分にかけちゃうなんて!
おじさんは大慌てしています。しかも、あなたには度がきつすぎたのかな? 絵本の文字は、ぼやけてしまっていますね。
今度はぼうしです。
「みなかった?」と聞かれたあなた。
あらあら、またユーモアですか? 自分でかぶろうとするから、おじさんが「こらこら!」と突っ込んでいますよ。
……と、こんな風に、『うっかりおじさん』は、おじさんと読み手が絡み合っていくスタイルの絵本なんです。
さて、すっかり身支度が整って、出かける気満々のおじさんですが、なんか変な恰好? …… ズボン履いてないんです。
おじさんは気づいてないし、「忘れ物ない?」と尋ねても、「ないぞ」と出かけてしまう始末。
すると、「おっと。やっぱりわすれてた。」とおじさんは戻ってくるのですが、果たして……?
『うっかりおじさん』は、スウェーデンの絵本作家であるエマ・ヴェルケの、とびきり洒落のきいた作品です。
おじさんの姿に、思わずくすくす笑いがこぼれてしまうこと間違いなしです。
にこっとポイント
- 読み手とおじさんが絡み合っていくスタイルの、ユーモラスな絵本です。
- 見返しや裏表紙までしっかりと見てほしい作品です。作者の遊び心がいっぱい詰まっているんですから!
(にこっと絵本 森實摩利子)