遠い遠い国のお話です。恥ずかしがりやのおうさまと、あわてんぼうの6人のおともたちが暮らしていました。
『おうさまのおひっこし』牡丹靖佳作、福音館書店、2012 amazon
おうさまは、困っている人がいると何かしてあげたくなります。でも、照れくさくてうまくおともたちに命令できません。そのため、おともたちの勘違いにより、はちゃめちゃな結果になることも。
ある日、きゅうくつそうに一つのベッドで眠るおともたちを見て、おうさまは「ううむ、おおきなベッドをつくりなさい」と命じました。でも、おともたちが作ったのは、大きすぎてお城に入らないベッドだったのです。
そこで、たくさんの荷車で引っ越しをすることになるのですが……。
はちゃめちゃでも、誰かが幸せなら私も幸せ
やせたヤギに「なにかたべさせてやりなさい」と言うと、ソファをびりびりにして中の干し草をやってしまったり、濡れている男の子に服を着せてやりなさいと伝えたつもりが、町中の彫刻に服を着せてしまったり、おともたちは行く先々でひと騒動おこします。
それでも、おうさまはそこに必ず「価値」を見つけてにこりと笑うのです。
騒動のたびに、たくさんあったはずのおうさまの荷物はどんどん減っていくのですが、おうさまは気にしません。おともたちの頑張りや、喜ぶ人たちの存在がおうさまはうれしいのでしょう。
皆さんも、「こんなつもりじゃなかった!」「なんでこんな結果に!」という場面に出くわすことってありませんか? でも、おうさまのような穏やかな優しさを持てたら、どんな結果でも愛せる、ハッピーな毎日に繋がるかもしれませんよ。
にこっとポイント
- 子育て中の親御さんや、毎日お仕事に邁進する方たちにもおすすめ! おうさまの包容力に、あたたかな気持ちになれます。
- 繊細な絵柄が美しい、端から端までじっくり眺めていられる、素敵な絵本です。
(にこっと絵本 Haru)