うさぎが足踏みミシンを使って何かを作っています。
『わたしのワンピース』西巻茅子さく、こぐま社、1969 amazon
うさぎは空から落ちてきた白いきれを、足踏みミシンを使ってワンピースに仕立てました。
「ミシン カタカタ、ミシン カタカタ」
そしてできあがったワンピースを着て散歩に出かけます。
「わたしに にあうかしら」
このワンピースは不思議なワンピースで、お花畑を歩いたらお花の模様になりました。そのまま散歩を続けているうちに雨が降ってきました。すると、ワンピースは水玉模様に変わりました。
次々と歩いている周りの模様に変わっていくワンピース。最後は星の模様になりました。
ところで、この絵本に登場するうさぎは、満面の笑みといった表情ではありません。もちろん、悲しい表情や怒っている表情ではありませんが。
ワンピースの模様が変わるたびに、その驚きや嬉しさが、読んでいる子どもには自分の気持ちに寄り添った顔に見えるのではないかと思いました。
あなただけのうさぎ― つまりうさぎは読者本人なのかもしれません。そう考えて読み直してみると、どのうさぎも誇らしげで喜んでいるように見えます。
にこっとポイント
- 空から降ってきた布を使って作った、うさぎの不思議なワンピースのお話です。
- 1969年12月の初版です。50年以上経った今も書店に並んでいる、ロングセラー絵本の1冊です。
- 「ラララン ロロロン」が何回か出てきますが、リズミカルに読むと楽しさが倍増しますよ。
(寄稿: 絵本専門士<東京都> 鴫原晶子 / 保育者養成校講師)