PICK UP! 空のきれいな季節に……「飛ぶ」絵本

谷川俊太郎さんの、16行に込められた「ありがとう」。

ありがとう

『ありがとう』谷川俊太郎詩、えがしらみちこ絵、講談社、2021 amazon

絵本『ありがとう』では、空、花、と当たり前のようにそこに在るものに、目を向けることで、自分という存在へ想いを巡らせることができます。

たとえば、「空 ありがとう」。曇っていてもその先にはいつも青い空が広がっている。思い悩む日があっても世界は変わらず美しく在り続ける、と感じることもできますよね。

ありがとう_中ページ

また、「花 ありがとう」は、一輪の花が、花を開く一瞬。その瞬間に立ち合い、ほのかな匂いと色が、私たちの記憶として残り続けること。

花にとっての一瞬が私の一部になって残っていく奇跡のような偶然に、これって本当に一期一会なんだなと、目の前が開けるような気持ちになります。

そして「お母さん ありがとう」「私 ありがとう」。私という存在をここに生み出してくれたこと、そして私というアイデンティティが確立して、共に歩めること。

ただ、そこにいて、私が私でいることを言祝いで肯定してくれるようなメッセージを感じることができます。

絵は、えがしらみちこさん。『せんそうしない』からの谷川さんとの再タッグです。えがしらみちこさんが、「卒業の日に『私』が思うこと」というイメージを膨らませて、谷川さんの詩を絵本に昇華しました。

改めて、まわりに― 一つひとつの出会いに― 目を向け感謝することに気づかせてくれる、優しくあたたかな絵本です。

にこっとポイント

  • 新たな一歩を踏み出そうとしている全ての人へ手渡したい、周りや自分に改めて目をむけるきっかけをくれる絵本です。

(にこっと絵本 Haru)

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