『かべのむこうになにがある?』ブリッタ・テッケントラップ作、風木一人訳、BL出版、2018 amazon
大きな赤い壁がありました。
それが、いつからあるのか、どうしてなのか、誰も知りませんでした。
小さなねずみは、こう思います。
かべのむこうになにがあるんだろう?
怖がりのねこは、壁が自分たちを守ってくれているんだと言います。
くまのおじいさんは、あることがあまりにも当たり前すぎているし、不思議がるには年をとりすぎたと話します。
お調子者のきつねは、考えるのはやめよう、そうすればハッピーさと言いました。
くたびれたライオンは、壁の向こうには何もなくて、あるのは闇だと言います。
それでも、壁の向こうを知りたいねずみのもとに、そらいろのとりが飛んできました。
そらいろのとりは、ねずみを乗せて壁を飛び越えます。
そこには、たくさんの色であふれる夢のような世界が広がっていたのでした。
さて、かべはいったい何だったのでしょう? 何のためにそこにあったのでしょう?
ほんとうのものを みる ゆうきが あれば かべは きえる。
ぜんぶ きえたあとには きっと すばらしいせかいが あるはずだよ。
読む人によって、また、読むタイミングによって、「壁」の意味は変わるかもしれません。
見ないふりをしているだけで、私の周りにも壁があるのかもしれないな……。
知りたいという好奇心、あきらめない心、壁を乗り越える勇気を、持ち続けたいなと思います。
にこっとポイント
- 「壁の向こうを知りたい」― 読む人、読むタイミングによって、壁の意味や絵本についての感想が変わってくるかもしれません。
- この絵本にはしかけがあります。ぜひ、表紙カバーを外してみてください。驚くような色鮮やかな世界が広がりますよ。
(にこっと絵本 森實摩利子)