「せかいじゅうの 人びとを しあわせにするために せかいじゅうを せいふくした ある 大きな国の だいとうりょうの おはなし」
『せかいでいちばんつよい国』デビッド・マッキー作、なかがわちひろ訳、光村教育図書、2005年 amazon
戦争で世界中を征服した大統領は、一つだけ残った小さな国に乗り込みます。兵隊のいない小さな国は、大きな国の兵隊たちをお客のように招き入れました。すると、兵隊たちは少しずつ変わっていき……。
『ぞうのエルマー』シリーズでおなじみの、デビッド・マッキーの『せかいでいちばんつよい国』は、表紙のかわいらしい絵が印象的ですが、簡潔な言葉で語られる大きな国と小さな国の行く末に、思いがけず唸らされてしまいます。
命がけで戦い、大きな国に敗れたほかの国々と、争うことをせずに大きな国を迎え入れた小さな国。小さな国のその本当の強さに、大きな国の大統領が気づくときはくるのでしょうか。真の豊かさとは何か、この絵本は読む人それぞれに投げかけてきます。
常に私たちにつきまとう「戦争」「平和」といった課題が、今、特に意識されているとも言えるかもしれません。そんな時、時代だからこそ、投げかけられた問いに、ぜひ挑戦してみてほしいと願っています。大人の方も、ぜひじっくり読んでみてください。きっと、子どもに勧めたくなります。そして、ぜひ親子で、教室で、様々な場で語り合ってみてほしいと思います。
にこっとポイント
- 子どもから大人まで、じっくり読めます。そこからぜひ自分の中で思いを反芻し、語り合う時間につなげてみてください。
- 文章は、ほぼひらがな。簡単な漢字は使われていますが、ふりがながついているので、幼稚園生・小学生でも読みやすいです。
- 同じようなテーマの『六人の男たち―なぜ戦争をするのか?』もおすすめです。
(にこっと絵本 Haru)