「さあ きもだめしを はじめるよ でもね……」と、髪の長い日本人形が、話し始めます。
「なく こは この さき よんじゃ だめ!」
『きもだめし』新井洋行、講談社、2016 amazon
黒色の背景に浮かび上がる赤い文字のタイトルと、日本人形がとても印象な表紙です。
ページをめくっても、おばけはすぐには登場せず、冒頭の、「泣く子は読んじゃだめ」という日本人形のことばが書かれています。怖さと共にわくわくした気持ちが、ふくらんでいきますね。
読者の気持ちが盛り上がってきたところで、いよいよおばけの場面です。
井戸の中に誰かがいます。「しく しく しく しく おねがいが あるの」― 井戸から火の玉と一緒に「うらめしや~」と出てきたのは、幽霊でした!
実は、こちら『きもだめし』は、縦にページをめくると、おばけが飛び出してくるしかけ絵本です。
おばけが下から上へ伸びて登場する実に巧妙なしかけで、「きもだめし」が楽しめるようになっています。
20cm×20cmの少し小さめのサイズですが、縦に伸びるダイナミックな動きと、ページからはみ出るくらい大きく描かれているおばけのインパクトで、読み終わっても「もう一度、見たい」と、くり返し開けたくなってしまう絵本です。
さて、「ぼくと いっしょに あそんで くれる?」と、次に登場するのは、いったい誰でしょう?
にこっとポイント
- きもだめしをテーマにした、縦に開くタイプのしかけが付いている絵本です。
- 和風の表紙カバーは、ザラザラした質感になっていますよ!
- はっきりした色で、おばけもアップで描かれているので、読み聞かせでも利用可能です。
(にこっと絵本 SATO)