ぼくの からだのなかには 木が いっぽん はえてる
『ぼくのなかの木』コリーナ・ルウケン作、島津やよい訳、新評論、2021 amazon
その木には、りんごやオレンジが実ります。それから、日陰をつくってくれたり、鳥やリスやみつばちなど、いろいろな生きものが住む場所になってくれたりもします。
ぼくのなかには 木が ある
そらが ある たいようが ある
詩のような文と、自然の恵みを美しく描いた絵が、深く印象に残ります。
カバーの前袖には、「わたしたちはみな強靭な生命力をもつ木のように、根・幹・枝・葉・花・実を内なる自然として有し、生きとし生けるものすべてと永遠につながっている……」ということばが書かれていますが、この絵本を読めば、自分の中の「木」にも、心を向けたくなるでしょう。
鮮やかなピンクに彩られた絵も、魅力的!
ページを開くと、蛍光色にも近いピンク色が目に飛び込んできて、その場が、ぱっと明るくなります。
この絵本の絵には、グワッシュ(不透明水彩絵の具)、鉛筆、インクが使われているそうですが、黒いインクで描かれた力強い木の幹と、鮮やかなピンク色の組み合わせは、とてもインパクトがあります。
実際の自然界は「緑」の印象が強いのに対し、この絵本は、緑色ではなく、ピンク色で彩られていることに、最初は驚きました。でも、読んでいくうちに、心の中の世界の「ぼくのなかの木」を描くには、この色がぴったりだったのではという気がしてきました。
読み手の数だけ、受け取り方がある絵本だと思います。みなさんは、この絵本を開いて、どんなことを感じるでしょうか?
にこっとポイント
- 自然と共にある生命の喜びを、鮮やかなピンク色を用いて表現した絵本です。
- 表紙と裏表紙はつながっていて、広げると木のパワーをより感じることができます!
- どのページも絵が美しいので、好きな場面を開いて、飾っても素敵です。
(にこっと絵本 SATO)