『飛びアンリー― 沖縄の鳥人(とびんちゅ)』儀間比呂志作・絵、海風社、2000 amazon
今年2022年5月15日、沖縄は、本土復帰50周年を迎えました。
この50年は、辛いことも悲しいこともありましたが、沖縄の人々には、優しさや温かみを決して忘れない強さがあります。
『飛びアンリー― 沖縄の鳥人(とびんちゅ)』は、そんな沖縄が、昔、琉球王国と呼ばれていたころ、ライト兄弟よりも100年前に、空を飛んだ男のお話です。
琉球王国には、空に憧れる男がいました。その名も、アンリー(安里)。
アンリーは、空を飛ぶために、幼い頃からいろんな実験をしました。猫に打ち上げ花火をくくりつけたり、鳥になると言って屋根の上から飛んでみたり……。
ある日、アンリーは、驚くことに、凧に自分を張り付けて、ゆーらゆーらと空に泳ぎました。
でも、それがお城の上だから大変! 役人に見つかり、3日めの朝まで縄にくくられてしまいました。
さて、16歳となったアンリーは、浜辺で弓の稽古をみて、空を飛ぶヒントを得ます。家に帰り、すぐに設計図を考えました。
でも、凧に人を乗せてお城に入ったり、城内を見たりできる“飛び道具” は、国のご法度。父が、許すはずはありません。それでも母親だけは応援をしてくれ、友だちは、一緒に飛び道具を作ってくれました。
そして、いよいよ決行日! 村の人々は、飛び道具を見て驚き、大勢の人が集まりました。
風の向きを伺うアンリー。― タイミングがきた! 行け、アンリー飛べ‼
大勢の人が、固唾を飲む中、アンリーは飛行に成功したのでしょうか?
沖縄本土復帰50周年記念の今、沖縄ではよく知られたこの先人の絵本を手にしていただきたい!
にこっとポイント
- 沖縄本土復帰50周年記念に読みたい、沖縄ではよく知られた先人― ライト兄弟よりも100年前に、空を飛んだ男・アンリーの絵本です。
- 作者は、那覇市出身の儀間比呂志さん。力強い版画が印象的です。
- 沖縄の民族衣装、建物、風景など、沖縄の雰囲気を味わえます。
(寄稿:絵本専門士<沖縄県> 森島幸代・えほん とんとんみーず)