PICK UP! 空のきれいな季節に……「飛ぶ」絵本
わたしのこねこ

『わたしのこねこ』澤口たまみ文、あずみ虫絵、福音館書店、2016 amazon

「わたし」の家に、黒色をした子猫が来ました。

わたしは「くろ」と名前をつけます。「くろ、くろ、なかよくしようね」。

わたしは、くろと早く仲良くなりたくて、夜、一緒に寝ようとくろを自分の部屋に連れて行きました。

それなのに、くろは嫌がって本棚の上にのぼってしまいます。昨日まで、母さん猫やきょうだい猫と暮らしていたから寂しいのかな? わたしは、くろの気持ちを考えながら眠ります。

やがてくろは、「くろ」と呼ぶと、返事をするようになりました。ねこじゃらしをくろの目の前で動かすと、じゃれてきます。手が疲れてねこじゃらしを置くと、くろは、わたしの前にねこじゃらしを持ってきます。

わたしのこねこ_中ページ

「もっと あそびたいんだね」― 毎日一緒に過ごすことで、くろの気持ちもだんだん分かるようになってきたのです。

「わたし」と子猫の「くろ」の交流を描いた物語

表紙には、「くろ」を大事そうに優しくだっこしているわたしの絵が描かれていますが、この絵本からは、最初から最後まで、猫への愛情をたっぷりと感じることができます。

また、体中の毛を逆立ててびっくりしたり、いつまでも飽きずにねこじゃらしで遊んだりといった猫の表情も、とても豊かに表現されています。そして、そんなくろの表情や仕草を見て、「くろは、何を感じているのかな?」と一生懸命考えるわたしを、応援したくなりますよ。

さらに、くろが家にやってきて、先住猫のレオとあいさつを交わすまでの様子は、とても細かく描かれているだけでなく、読者も、「わたし」やお母さんと一緒に、ドキドキしながら見守ることができるような場面になっています。

「わたし」と「くろ」の心の距離が近づいていくにつれうれしくなり、読んだ後には、あたたかい気持ちになれる絵本です。

にこっとポイント

  • 主人公「わたし」と子猫「くろ」が仲良くなるまでが描かれています。一度描いた紙を切って貼っているカラフルな絵も、とても素敵です!
  • 大きなとらねこの先住猫トラにも、注目です。猫の世界でのしきたりも知ることができるので、猫を飼う前に読むのにもおすすめです。

(にこっと絵本 SATO)

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