『とってください』福知伸夫、福音館書店、2003 amazon
表紙には、緑色の甲羅を持ったかめさんが、どこかに歩いていく姿が描かれています。
ページをめくってみると、かめさんの先には、大きなりんごの木。その木の下には、おさるさんがいます。
「おさるさん りんごを とってください」とかめさんが言うと、おさるさんは木に登って、かめさんにりんごを手渡してあげます。「ありがとう」とかめさん。
かめさんは、はとさんやきりんさん、そして、ぞうさんにも頼み事をします。
「ぞうさん みかんを とってください」というかめさんに、大きなぞうさんは長い鼻を伸ばして、小さなかめさんに、みかんを渡してあげます。かめさんは、もちろん「ありがとう」。
こんな風に、かめさんが「とってください」と頼むと、いろいろな動物が木の上から様々なものを取ってくれます。
いろいろな動物が次々と登場するのには、わくわくしますし、白い背景に、力強くはっきりとした線の木版画が、とても見やすく、色彩が美しいのも魅力です。
木に実ったりんごやみかんは、本当においしそうで、これはかめさんが取って欲しくなるはずだと思うほど。
「とってください」「ありがとう」というシンプルなやりとりからは、自分では取れないところにあるものを取ってもらいたいときに、どのように言えばいいのか、また、取ってもらったら必ず「ありがとう」とお礼の気持ちを伝えることなどを、自然と感じ取ることができます。
そして、動物たちの表情やしぐさからは、かめさんに対する優しさが伝わってくるので、あたたかい気持ちになります。親子で繰り返し楽しめる絵本です!
にこっとポイント
- かめさんが「とってください」と頼むと、いろいろな動物が、木から取ってきてくれる木版画の絵も魅力の絵本です。
- 「ありがとう」の部分を子どもと一緒に言うなど、年齢に合わせて読むと楽しいです。
- 裏表紙では、取ってもらったものに囲まれたかめさんの姿も見ることができますよ。
(にこっと絵本 SATO)