店頭に並ぶ大きなすいか。夏の風物詩ですね。
それを半分に切っただけの真っ赤な切り口の中に飛び込んで思いきり遊べたら…… なんて涼やかで甘くって、おいしい時間になるでしょう。
それを叶えてくれるのがこの絵本です。『すいかのプール』。

『すいかのプール』アンニョン・タル文、斎藤真理子訳、岩波書店、2018 amazon
大きな大きな熟したすいかがパカっと割れたら、そこは涼しげなプール。すいかのプールの「プール開き」です。
一番乗りは、おじいさん。はしごですいかのプールにのぼったら、タネをスポッと抜いてそこにごろん。自分だけのプールのできあがりです。あとから、子どもたちや大人たちも浮き輪を持って次々と現れます。
「さっくさっくさっく」とすいかの上をふみしめて歩くと、赤い汁が滲んできて、「びちゃびちゃ」足踏みしてみるとジュースができます。
すいかの皮で作ったすべり台ですべってみたり、すいかですいかだるま(?)を作ってみたりと、晴れた真夏の空の下で大きな赤いすいかを満喫できます。
ちなみに、そのすいかの皮のすべり台は、水着姿のおばあちゃんが一番に楽しんでいて、子どもだけでなく大人も夢中になっているところが、すいかプールのユニークさと遊び心を物語っています。
そして、心惹かれるのが、大きなすいかの上から夏の日の夕暮れを眺めて過ごすラスト。
遊んだあとのかすかな倦怠感とともに夏の空気に包まれる、穏やかな時間を味わえるはずです。
大きくてみずみずしいすいかを体いっぱいで満喫できる、ひんやりおいしそうな絵本です。
にこっとポイント
- 淡い色で描かれた、夏ならではの赤々としたすいかを思いきり満喫できる韓国絵本です。
- 子どもから大人まで、読むたびに涼しさとワクワクを楽しめる1冊です。
(にこっと絵本 Haru)