「あけまして おめでとう」― 新しい年が始まると、たぬきにかめ、かえるにありなど、生きものたちが続々と集まってきました。
『おしょうがつのかみさま』おくはらゆめ、大日本図書、2019 amazon
最後にやってきたのはとら。背中に鏡餅をのせています。そして、みんなで食べようと声をかけた途端…… 「おもちが ぱちっと めをさます」のです。
ちょいと おまち!
わたしが おしょうがつの かみさまなのよ
なんと、おもちが神様⁉
けれども、誰も動じません。そこからは、かみさまを中心に、みんなでお正月のお祝いです。おもちをついて、たこあげをして、お年玉も数えちゃう。
「ふーへーほー おせちでも たべようっと〜」
「ふーへーほー すきなだけ ねようっと〜」
ほのぼのというよりは、ゆるゆる。「ふーへーほー」も、なんだかクセになりますね。
おもち(かみさま!)を食べたくて流れてしまうよだれ、花札をするときの真剣な目つき、テレビを見るときのリラックスした顔など、かみさまと動物たちの正直な表情には、思わず笑ってしまいます。
登場する生きものは、十二支に限定されてはいませんし、しかも哺乳類だけではなく、小さな虫たちも細かく描かれています。どの場面もにぎやかで、実にお正月らしく、おめでたい。ぜひ絵をじっくりとご覧ください。
さらに見逃せないのが、裏表紙です。年神様は、年の初めにやってきて、一年間の幸せをもたらすと言われていますが「かみさま、もう きた?」「まだ みたい」という、ちょっぴり不思議な会話の謎も、おもちのかみさまに動物たちが驚かなかったわけも、ここで解決できちゃいますよ。
さてさて、にこっと絵本は、これが2020年最後の更新となります。1年間ありがとうございました。次は、来年、2021年の1月1日にお目にかかりましょう。
「ふーへーほー」と、良いお年をお過ごしください。
にこっとポイント
- たくさんの生きものと、たくさんのお正月の風物が出てくる、ゆるくて力の抜けるお正月絵本です。
- 大人にはどこか懐かしく、親しみやすいお正月です。おうちで迎えるお正月にもぴったりですから、まったりお楽しみください。
(にこっと絵本 高橋真生)