コンコンチキチン、コンチキチン― 7月の京都と言えば、祇園祭!
1000年も前の昔、京の都ではたびたび疫病が流行りました。
熱にうかされ、次々に倒れていった町の人たちは、「はやりやまいを しずめてくだされ」と神に祈ったり、亡くなった人たちの魂を慰めたりするために、祭りを始めたのです。
…… と、このように、祇園祭を絵本にしたのが、こちら『祇園祭』です。

『祇園祭 新版』田島征彦作、童心社2005(初版1976) amazon
祇園祭は山鉾巡行が有名ですが、実際は、7月1日から31日まで、1か月にわたって祭事が行われます。
それらの祭事― 鉾建(ほこたて)などの準備から、宵山のお守り売り、そしてもちろん山鉾巡業などが、『祇園祭』では、一つひとつていねいに紹介されています。
お祭りは、その楽しさに心が浮き立つものですが、絵本を読むと、お祭りを支える人の真剣な思いや努力があってこそ、ということがよくわかります。
また、黒い輪郭線が印象的な型絵染は、迫力があるのですが、着物や鉾の錦模様は細やかで優美。

横開きの絵本ですが、縦にして見るページもあり、躍動感たっぷりです。
そのせいでしょうか。私の祇園祭の思い出は、どれも暑さと人ごみの中にあるのですが、その熱風や人の声、お囃子が画面からあふれてくるように感じられました。
祇園祭を、テレビの中でしか知らない子も興味を持って見てくれます。また、7月の京都にお出かけされる方には、特に読んでいただきたい一冊です。
にこっとポイント
- 祇園祭の祭事をていねいに追った絵本です。迫力と細やかの両方があり、お祭りの空気を感じられます。
- ブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB展)1977年金牌受賞作です。
(にこっと絵本 高橋真生)