特別な能力なんてなくても、「ほしいもマン」に変身できます!
『ほしいもマン』あきやまただし、佼成出版社、2014 amazon
「よくも いったな、ぶー!」「なんだよ そっちだって、ぶひー!」おいもくんが、二匹のぶたさんの大げんかを見つけました。仲裁に入ろうとしますが、はじきとばされてしまいます。
「よーし、こうなれば」と、おいもくんは、星のバッジを胸につけ「ほしいもマン」に変身です。 ぶたさんたちの間に、すたっと降り立つほしいもマン。さて、どんな方法で、ぶたさんたちのけんかを解決するのでしょうか?
ひと味変わった「ほしいもマン」の解決法とその後にも、注目!
「○○マン」と聞くと、「スーパーマン」や「スパイダーマン」などが、頭に浮かぶ人も多いのではないでしょうか? 強くて、機敏で、特別な能力があって、かっこいい正義の味方。
けれど「ほしいもマン」は、空は飛べるものの、降り立つ時に足をくじいてしまうほどのしわしわのおじいちゃん。そんなおじいちゃんが、どうやって仲裁をするのか― 面白さの中に、何が大切なのかがしっかりと込められている、あきやまただしさんならではの一冊です。
私がとても好感を持ったのは、仲直りをさせた後のほしいもマン。へとへとの様子で「こりゃ~、しんどいわい」とおふろに入って、水も飲んで、ほしいもマンをしばらくお休みしようかな、とまで言い出して……。
「そんなヒーローっている?」と思わず笑ってしまった場面でしたが、「この バッジ、だいこんくんか、ぶどうくんにかしてあげよっと」というほしいもマンのことばから、「ほしいもマンには、誰もがなれる」というメッセージが伝わってきて、あたたかい気持ちになりました。
誰にバッジを貸したのは、絵本の裏表紙をチェックしてみてくださいね。
にこっとポイント
- 面白さの中に、「何が大切なのか」がしっかりと込められています。
- 幅広い年齢層での読み聞かせに使えるので、おいものおいしい秋の季節にぜひ!
あきやまただしさんのその他の作品
- 『まめうし』(PHP研究所、1997)
- 『たまごにいちゃん』(すずき出版、2001)
- 『へんしんトンネル』(金の星社、2002)
など、多数。
(にこっと絵本 SATO)