初めての体験― 最近、少なくなったなぁと、思うのです。
子どもの頃は、毎日が新しいことづくしで、刺激に満ちていたっけ。
初めてのワクワク。初めてのドキドキ。
最初にあったこころトキメクような感覚は、満ちてくると形を変えてしまうんだよなぁ。
そんなことを考えさせられたのがこちら、『せかいいちのいちご』。
『せかいいちのいちご』林木林作、庄野ナホコ絵、小さい書房、2018年 amazon
カモメの郵便屋さんがしろくまに届けた手紙には「いちご おとどけ いたします」と書かれていました。
知ってはいたけど、実際に手にしたことはなかったいちご。しろくまは、楽しみで仕方ありません。
届いた真っ赤なひとつぶのいちごを、それはそれは大切にしたのでした。
そうして次の年。今度は2つぶ。それから毎年毎年、いちごの数は増えてゆきます。
けれども、
いちごの かずが 増えるほど
よろこびは 減ってしまった
あの、最初のこころ震えた感動に、しろくまは思いをはせるのです。
当たり前になった今には、必ず最初の時があったはず。初めての感動を忘れたくない。
そんなことを感じさせられたのでした。
にこっとポイント
- やさしいピンク色の表紙やおしゃれなイラストとともに、なにか、こころにピンとくるものがあるこちら。装丁がとにかくおしゃれなので、プレゼントにもおすすめですね。
(にこっと絵本 森實摩利子)