おかあさんが焼いた12枚のクッキー。2人で分けて食べようとしていると、玄関のベルが鳴り、友だちが2人やってきました。
「ちょうどよかったわ。いっしょに おやつをたべてって」― クッキーは、4人で分けて3枚ずつ。するとまたベルが鳴り……。
『おまたせクッキー』ハッチンスさく、乾侑美子やく、偕成社、1987 amazon
『おまたせクッキー』は、ユーモアのあるくり返しが楽しい絵本。食べようとするとベルが鳴る「お約束」に、「クッキー、いつ食べられるの?」「また減っちゃうー!」とそのたびハラハラしてしまいます。
クッキーをひとりいくつ食べられるかという切実さがポイントでもあるので、割り算ができるようになった子は、パパッと計算しては大騒ぎ。
小さな子も、友だちが増えるとクッキーが減るというのはちゃーんと理解できるようで、ベルがなるたびにドキッとした顔を見せてくれます。
部屋の中はとにかくにぎやかで、大きなギンガムチェックの白黒の床に、同じ柄の青と白のテーブルクロス、星の縁取りのある紫色のラグ、ヴィヴィットな色の花柄やボーダーのファッションがたっぷり。
子どもが増えるにつれて変化するのも楽しくて、ページをめくるのがついゆっくりになります。
明るい雰囲気と、最高にうれしいハッピーエンドが楽しい絵本、読むと無性にクッキーを食べたくなります。もちろん、みんなでわけっこして、ね!
にこっとポイント
- ストーリーも絵も明るく、ハラハラとユーモアが同時に味わえます。絵本の楽しさがつまっています。
- 小さな子も、計算が分かるようになった頃の子も、それぞれに楽しめます。
(にこっと絵本 高橋真生)