こじゃんちえい本やき、読んでみてや!
『花じんま』田島 征三再話・絵、福音館書店、2013 amazon
みなさんお馴染みの「花咲か爺さん」。このお話を土佐弁で描いたのがこちら『花じんま』です。
「じんま」とは「おじいさん」のこと。土佐弁でも少し昔の言い方でしょうか。私は普段は使わないことばですが、有名なよさこい節には出てくるんです。
「高知の城下に来てみていや じんま も ばんば も よう踊る~」
「ばんば」は、おばあさんのことですね。
作者の田島征三さんは、幼少期を高知で育ち、土佐弁の絵本を何冊か描かれています。
パッと目を引くピンク色、大胆に描かれたおじいさんの表紙をめくると、見返しには桜の花。
物語は、よくご存知の人のいいおじいさんと、意地悪なおじいさんの掛け合いですすみます。少し違うのは、ラストの部分でしょうか。それは読んでのお楽しみなのですが、昔話にある勧善懲悪だけでなく、命の巡りをも表現した作品となっています。
「枯れ木に花を咲かせとうせ」― 若い人は使いませんが、今でも耳にすることの多い土佐弁がそのまんま使われているこの作品。
土佐の方言を味わいながら、田島さんが描く花咲か爺さんの世界をお楽しみください。
にこっとポイント
- 土佐弁の花咲か爺さん、命の巡りをも表現したラストをお楽しみに。
- 土佐弁は難しい。私が読みに伺えるとよいのですが、なかなかそうもいきません。福音館書店のサイトで、作者の田島征三さんが読んでいる音声がありますので、ぜひこちらから土佐弁の響きをお楽しみください。
→ https://www.fukuinkan.co.jp/detail_contents/?id=8
(にこっと絵本 森實摩利子)